ナチュラルワインの魅力と味わい!日本ワインのキーパーソンに聞く、ナチュラルワインのいま。

ワイン選びでよく耳にする、「ナチュラル」「ナチュール」「自然派」という言葉。あらためてこのジャンルについて、ちょっと掘り下げたお話を聞きました。

ナチュラルワインは空前の大ブーム。でも、結局何が"ナチュラル"なの?

「ナチュラルワイン」(フランス語ではナチュール。日本では自然派ワインと呼ぶことも多い)は世界的な潮流でもあるけれど、実際は何が"ナチュラル"なのかが今ひとつわからない、という声もよく聞きます。一般的なナチュラルワインの定義は、ブドウを有機栽培で作ることや、添加物を入れない、または極力減らすというものらしい、というのはなんとなくわかっていても、その定義や味わい方の解釈は、かなり幅広いもののよう。今回は『wa-syu』のバイヤーであり、ワインエキスパートの菊地がインタビュー。『wa-syu』なりのナチュラル系ワインについて、深掘りしてみました。

写真左から:
Alternative Rouge 2019/イエローマジック
Campbell 2020/ドメーヌ・ショオ
Art Label 2017/ドメーヌヒデ

▼「ナチュラルワインのアイテムリスト」はこちら

日本&世界のワインに精通。ワイン界のキーパーソン『ウィルトスワイン神宮前』主宰、中尾有さんに話を伺いました。

今回ナチュラルワインについて話を聞いたのは、東京・外苑前にあるワインショップ『ウィルトスワイン神宮前』主宰の中尾有(なかおたもつ)さん。大学時代に考古学を学び、エジプトでのフィールドワーク中に、壁画に描かれたワインの醸造の様子に惹かれたそう。その後、フランスワインを中心に、世界中のワインを扱うインポーターとして活躍。近年は日本ワインのバイイングにも力を入れており、全国の生産者とのつながりも深いキーパーソン的な存在として、『wa-syu』の商品セレクトのコンサルティングも担当しています。「ちかごろ注目のエリアは北海道です。いろいろな蔵が出てきていて面白い! また、長野県にもナチュラル系の小規模ワイナリーができていて、動きが速いですね。今はほとんど全都道府県にワイナリーが出来ているので、住んでいるところや、地元の小さいワイナリーなどを応援するのも楽しいですね(中尾さん)」。

▼「ナチュラルワインのアイテムリスト」はこちら

『wa-syu』バイヤー、菊地がインタビュー。ナチュラルワインの"定義"について、あらためて考えてみました。

wa-syu・菊地:ナチュラルワインをカテゴライズするのはなかなか難しいな、とあらためて感じています。造り手さんや飲み手によって、ずいぶん解釈に幅がありますよね。
ウィルトスワイン・中尾:定義づけは本当に難しいですよね。ナチュラルやナチュール、自然派などは、基本的には便宜上使っている呼び方です。法律で定められているわけでもないですし…。ベースとしては、有機栽培でブドウを作っているというのはまずありますが、それは近年ではいいワインなら当たり前のことになっているので、必ずしもナチュラルワインの条件とは言えません。あとは、亜硫酸塩(酸化防止剤)を添加しないとか、添加酵母を使わずに自然酵母で発酵させる、という造り方がありますが、これも"絶対に使わないのがナチュラル"ということではない。"できるだけ使わない"とか、"そういう方向を目指している"という、ファジーな感じになるのかな、と思います。
菊地:年によっても状況が変わるようですね。完全に無添加というわけにはいかない時もある、と聞きました。
中尾:例えば、添加酵母を使わなかったためにうまく発酵が進まず、味わいが損なわれることがあるのなら、むしろ使った方がいいかもしれない。添加物は決してデメリットではないので…。でも、どんな時でも決して添加物は使わない、という造り手もいる。それはそれぞれの造り手のスタンスの違いなので、飲み手がその違いを楽しんで、自分の欲しい味わいを探せばいいんじゃないかな、と思うんです。

写真上から:
Art Label 2017/ドメーヌヒデ
Campbell 2020/ドメーヌ・ショオ

▼「ナチュラルワインのアイテムリスト」はこちら

"ナチュラル系"と、"そうでない系"の最大の違いは、味わいの方向性?

菊地:定義づけが難しいナチュラルワインですが、それでもお客さまに、"これはナチュラルですか?"とか"自然派ですか?"と聞かれることが多くないですか?
中尾:多いんですが、どうしてもYESかNOかで応えることは難しいですよね。でも味わいに関しては、大きく分けて"ナチュラル系"と、"クラシック系"で考えることはできるかな、と思います。
菊地:ナチュラル系のイメージは、旨みがあって、濁りなどもあり、体液のようにぐいぐい飲めるワイン。お家でゴロゴロしながら飲む感じでしょうか(笑)。いっぽう、クラシックなワインはもっと背筋を伸ばして飲むイメージです。
中尾:ナチュラル系のワインはタッチが柔らかく、クラシックなワインはタッチが堅い、というのが大きな味わいの違いです。ナチュラルの場合は、飲み口が柔らかくファジーでドリンカブルな味わい。カジュアルに楽しめるタイプです。いっぽうクラシック系は、味わいに輪郭があってエレガント。すこしとっつきにくいけれどとびきり美味しい、高貴さとか堅さとかが感じられるものです。
菊地:造り方で絞っていくよりも、飲み方の方向性や、味わいの傾向で考えて選んだほうが良さそうですね。
中尾:音楽で言えば、ポップミュージックとクラシックの違い、というイメージでしょうか。同じ音楽だけれど、気分や場にふさわしいものを選んで聞きますよね。ポップスの中でも軽いものや重めのものなどいろんなジャンルがあるし、クラシックの中でもバロックから現代クラシックまで変遷がある。そういったタッチの違いを味わうように、ワインを味わえばいいんじゃないかな、と思っています。

▼「ナチュラルワインのアイテムリスト」はこちら

コップでラフに飲むのも、ナチュラルなワインの味わい方。もちろん日本食にもマッチ!

菊地:最近は本当にナチュラルワインが多いですよね。最初からナチュラル系を飲み始めて、それしか味わったことがないという人も多いです。
中尾:僕はもともとフランスのワインから入ったから、本来はクラシックなものが好きで。最初、ナチュラル系は、あんまり美味しくないなーとか思いながら飲んでいました(笑)。でもその当時に比べれば、ナチュラルワインのクオリティは格段に上がったし、すごく美味しい銘柄が増えましたよね。
菊地:これほどまでにナチュラル系が流行したのは、食との関連性もありますね。
中尾:そうなんです。もともとクラシックなワインは、こってりした食事に合わせたときに、ちょうど合うように造られている。でも今は、海外でも食事がライト化しています。今のライトな料理には、やはりライトなワインしか合わないんですよね。ナチュラルワインはコップで飲んでもいいし、外で飲んでもいいし、いろいろなシーンを当てはめることができる。たとえばどのレストランで飲むかを考えたとき、クラシックなワインは、フレンチとかイタリアンに限られてきます。でもナチュラル系なら、居酒屋、カレー屋、中華、天ぷらなど、いろいろなところに当てはめられる。日本の惣菜など、甘めのものも合わせやすい。ナチュラルワインがこれほどまでに広まった理由は、この使い勝手のよさにあるんじゃないかな、と思っています。

写真左から:
Art Label 2017/ドメーヌヒデ
Campbell 2020/ドメーヌ・ショオ
Chardela Brut 2016 シャルデラブリュット/ヒトミワイナリー

▼「ナチュラルワインのアイテムリスト」はこちら

ナチュラルワインは、造り手の思想がベースにあるから面白い。

菊地:例えばカジュアルにナチュラルワインを飲みたいな、と思ったら、どのように選ぶのがよいでしょうか?
中尾:ラベルで選ぶのは一つの方法だと思います。カジュアルな雰囲気のラベルは、やはり中身も柔らかい感じ。自然なイメージのラベルはナチュラルですね。逆に、凜として堅めのクラシックなラベルなら、中身もそれにリンクした味わい。こうした"ジャケ買い"はけっこう当たっていて面白いですよ!
菊地:確かに、ユーモラスなラベルのものなどは、味わいもカジュアルで、気軽に楽しめます。
中尾:あとは、造り手さんやワイナリーで選ぶのがいいかな、と思います。今は、ワイン造りのメソッドが飛躍的に増えている時代。特にナチュラルのメソッドを使うと、いろいろな造り方のバリエーションが出てきます。醸造期間が3週間でできあがる、というところもあれば、何年も触らないようなところもあったり…。オレンジワインの造り方もそうなのですが、醸しの期間は造り手の感覚によってくるので、味わいにさまざまな幅が生まれます。だからこそ、造り手やワイナリーがどのようなワインを造りたいと考えているかがポイントになるし、その思想に共感できるかが、ワイン選びのカギになってくると思います。
菊地:造り手さんの個性を見るのは本当に面白いですね。最近は若手醸造家さんも続々デビューしていますが、やはり造り手とその考え方が、プロダクトに反映しているな、というのがはっきりわかります。
中尾:従来のワインは、その土地の伝統的な造り方によって製造されていたので、地域の味わいのようなものがあったんです。でも今は、ワインの味を決定する要因は、"人"になっているのだと思います。
菊地:『ウィルトスワイン』には、日本ワインを代表する名醸造家も訪れていますね!店内にある貴重なサインで、各ワイナリーとの強いつながりがわかります。実は中尾さんには、『wa-syu』の商品セレクトのコンサルティングも努めていただいているんですよね。
中尾:現地に足を運んだり、造り手と話し合って、よいと思ったものだけを仕入れています。ネームバリューはないけれど、めちゃめちゃ美味しいワインは沢山あるし、小さいワイナリーではなかなか通販や直販も対応できない。『wa-syu』ではそういうところのワインをぜひ、紹介していきたいですね。

中尾さんおすすめ! ナチュラル系ワインの銘柄と味わい方①

写真左から:
ドメーヌ・ショオ 「雪見 2018」
「このラベルは、自社畑のブドウで作っているワインのシリーズにだけつけています。ブドウにはなるべくボルドー液も使いたくない、という方向性で造っているワイナリーです。水分保有率が低い砂地の土壌なので、ワインもあまり色濃くなく、軽やかで繊細。出汁を思わせる味わいです(中尾さん)」。

ココ・ファーム・ワイナリー 「2018 ピノ・ノワール (こことあるシリーズ)」
「北海道のピノ・ノワールを使用。北海道『10R(とあーる)ワイナリー』のブルース・ガットラヴ氏と『ココ・ファーム・ワイナリー』」とのコラボレーションによる"こことあるシリーズ"です。野生酵母、亜硫酸無添加、樽で味わいを増した、ナチュラルだけどエレガントなスタイルです(中尾さん)」。

GRAPE REPUBLIC 「Rosato」
「もともとイタリアンレストランのお店が原点にあるせいか、料理に合わせるための、いろいろなキャラクターのワインが揃うワイナリー。このRosatoは、数種のブドウをバランス良くブレンドし、素焼きの甕で醸したロゼ。日本のお惣菜など、何にでも合わせやすいエントリータイプです(中尾さん)」。

ドメーヌヒデ 「美味しさ対決「ProPro」 2018」
「けっこうクセが強いカベルネ・ソーヴィニヨンとマスカット・ベーリーAを使用。日本のワインでもしっかりと完熟しているぞ、というところを見せてくれます。ちょっと野性味を感じるくらいの、がっしりとした味わいなので、お肉や、羊肉などとも美味しく味わえます(中尾さん)」。

深川ワイナリー東京 「北海道余市町産ナイアガラ無ろ過 2019」
「東京の下町、門前仲町に2016年オープンした都市型ワイナリー。カジュアルでユニークなラベルも特長です。野生酵母で自然に発酵させた、甘い香りのナイアガラ100%。すっきり辛口で、ピーマンなど苦味のある野菜との相性も良いです(中尾さん)」。

▼「ナチュラルワインのアイテムリスト」はこちら

中尾さんおすすめ! ナチュラル系ワインの銘柄と味わい方②

写真左から:
イエローマジックワイナリー 「Alternative Rouge 2019」
「純粋に、美味しいかどうか、自分が作りたい方向性かを追求している。ナチュールっぽい味わいのものもあれば、それにこだわらず高級ボルドーのような感じのものもあって、多面的な魅力を持った希有なワイナリーです。音楽が好きで、クラシックやヒップポップなどさまざまな音楽のジャンルの名前をつけているのも、味わいとリンクしていて象徴的です(中尾さん)」。

ドメーヌヒデ 「Art Label 2017」
「酸化防止剤無添加の、マスカット・ベーリーA100%使用。醸造家・渋谷英雄さんは、新月の上げ潮の日にピッキングや蔵出しをするなど、月の満ち欠けを栽培や醸造に取り入れているめちゃめちゃ面白い人。もともとプロのダイバーだったり、ラベルも書家さんとコラボしたり…。こういう人のワインを飲んでみたいな、と思わされます(中尾さん)」。

ドメーヌ・ショオ/Campbell 2020
「キャンベルアーリー100%のワイン。色を見ても、ラベルを見ても、いかにも飲みやすそうな感じですよね。美味しそうな見た目の印象の通り、味も香りも穏やかでキレイです。亜硫酸不使用で薄く濁りがあり、まだ僅かに発泡している状態で瓶詰めしています(中尾さん)」。

ヒトミワイナリー/Chardela Brut 2016 シャルデラブリュット
「それほど小規模ではないワイナリーなのに、すごくキャッチーなものやすごく酢っぱいものなど、ひとつひとつが面白い個性的なワインをリリース。自分の本能のままに造っているような感じでしょうか。"にごりワイン"の専門メーカーとしても有名で、濾過をしないスタイルのはしりと言えます(中尾さん)」。

▼「ナチュラルワインのアイテムリスト」はこちら

中尾さんおすすめ! ナチュラル系ワインの銘柄と味わい方③

ファットリア アルフィオーレ 「クラフトヴィーノ」
「宮城県のワイナリー発のスパークリングワイン。ぐびぐび飲んで気軽に楽しめるので、家のみにもおすすめです! ビールのような感覚なので、お風呂上がりなどにもぴったり。あとジャンクな食べ物とも合いますね。ポテトチップスとか、唐揚げとか…。手軽な印象ですが、自然酵母で瓶内ニ次発酵させていたり、添加剤やフィルタリングもなしの本格派。ヴィンテージによってブドウを変えたり、ブレンドするなどしてこだわっているのも注目です(中尾さん)」。

▼「ナチュラルワインのアイテムリスト」はこちら

SOLD OUT

SOLD OUT

SOLD OUT

SOLD OUT

SOLD OUT

SOLD OUT

SOLD OUT

SOLD OUT

SOLD OUT

SOLD OUT

SOLD OUT

SOLD OUT

interviewer/菊地良実(きくちよしみ)

日本ワインの楽しさを提案するオンラインショップ『wa-syu OFFICIAL ONLINE SHOP』立ち上げよりバイヤーとして参加。一般社団法人日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、シャンパーニュ騎士団シュヴァリエ。日本ワインのシーンをもっと盛り上げるべく奮闘中。

ウィルトスワイン神宮前

日本ワインはもちろん、フランス・スペインのワインも扱う。店舗にはワインとともに、日本の物作りを紹介するギャラリースペースも。
[名称]ウィルトスワイン神宮前/株式会社ウィルトス
[住所]東京都渋谷区神宮前2-11-19
[TEL]03-4405-8537
[Facebook]https://www.facebook.com/virtuswine/

RELATED ARTICLE

関連記事

2021.10.6

【世界が注目。北海道エリアのワイナリー】 いま、日本ワイン界で最も注目を集めているエリアが北海道。抜群の環境を生かした、高品質なブドウやワイナリーの個性を、ぜひ味わってみてください

2021.8.25

【野生酵母が静かなブーム。ワイナリーに聞いた、その魅力とは?】 野生酵母を使った日本ワインに、いま注目が集まっています。見えないけれど奥深い酵母の世界を知れば、もっとワインを美味しく楽しめるはず!

#日本ワイン #野生酵母 #天然酵母 #ココファームワイナリー #cocofarm&winery #奥野田葡萄酒醸造 #ばんけい峠のワイナリー #さっぽろ藤野ワイナリー

2021.7.28

【魅惑の香り。アロマティック品種の日本ワイン】 花の香りや果物の香りに例えられる、アロマティック品種のブドウを使ったワインをセレクト。デラウェアなど定番に加え、珍しいミルズのワインも入荷!

TOP