生食用ブドウ品種の魅力と味わい 2022 Autumn & Winter

デラウェアや巨峰などの"生食用"ブドウの栽培がさかんな日本。それを使ったワインは、ブドウそのものを口にしたような、新鮮な魅力に満ちています。

かつては避けられていた?生食用ブドウを使ったワイン。日本ならではの美味しさは、世界からもあらためて注目されています。

そのまま食べて美味しい、生食用のブドウ。代表的なものには、デラウェアや巨峰などがありますが、これら生食用の品種から造られたワインは、実はかつてはワインの世界では、あまり歓迎されていませんでした。独特の甘くフルーティーな香気は、海外では"フォクシーフレーバー"と称され、よいイメージを持たれていなかった時代もあったのです。特にヨーロッパワインに精通した人ほど、伝統的なワイン用のブドウ品種を重んじる傾向があるため、生食用のブドウ品種とは縁遠かったかもしれません。しかし日本では、もともと生食用ブドウの栽培面積がかなり多かったことと、ワイン用の欧州系品種の栽培が難しかったことから、たくさん作っている生食用ブドウをワイン加工用に転用するというケースが多く、その技術も発達してきました。近年では生食用ブドウを使った名品が続々登場、ソムリエやワインエキスパートが生食用ブドウ品種の美味しさを再発見するようになり、世界的な評価もどんどん高まってきました。日本の風土に合った繊細な味わいと、フレッシュな香気が楽しめて料理にも合わせやすいという利点は、日本ワインのひとつの特長にもなっています。

写真左から:
アジロン 2021/SOLD OUT
2022 ファンピー 白/SOLD OUT
プレミアムキュヴェ エマ スパークリングロゼ/SOLD OUT
GreGreGrape 2021/3,410yen(税込)
プランダムール (キャンベルアーリー スパークリング)/SOLD OUT

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生食用ブドウ品種①アジロンダック 山梨県の一部でしか作られていない、幻のブドウとも呼ばれる品種!

日本ワインの黎明期を担ったブドウ品種、アジロンダック。かつてはたくさん作られていましたが、栽培に手間がかかることと、実が房からから離れてしまいやすいため商品になりにくく、現在では「幻の黒ブドウ」と称されるほど生産量が減りました。今では日本国内では山梨県・勝沼でしか作られていない希少な品種です。その独特の香りを生かして仕上げられたワインは、ブルーベリーなどの黒系果実の香りにマスカットや木苺の甘美な風味を持つと言われています。

生食用ブドウ品種②キャンベル・アーリー 世界的に見直されている人気の黒ブドウ!

キャンベル・アーリー種は、日本では東北や北海道などの寒冷地で多く栽培されている、ラブルスカ種の大粒の黒ブドウ。"日本のワインぶどうの父"と言われる、新潟県の川上善兵衛氏(かわかみぜんべえ/マスカット・ベーリーAの生みの親)によって日本に導入されたと言われています。昭和の時代にはよく食卓にも上っていた品種ですが、濃厚でしっかりとした酸味もあることから、近年はワイン用として新たに注目されています。桃や苺を思わせる甘い香りやバランスの良い酸味、美しい色味で、そのワインは世界的にも評価される存在になりつつあります。

生食用ブドウ品種③巨峰 大粒の高級ブドウは、ワインになっても華やかなオーラを放つ!

甘くリッチな大粒の実をつける巨峰は、ブドウの王様とも言われ、贈答品としても愛される高級品種。日本で交配・作出された品種で、山梨県が生産量日本一。生食・ワイン用ブドウ品種全体で見ても、もっともたくさん作られている品種です。糖度が高いブドウのため、ワインにすると華やかな甘い香りを持ちながら、キリリとしたシャープな飲み口に。艶やかな芳香がそのまま生きる、大人のためのジュースとも言える贅沢な逸品が生まれます。

生食用ブドウ品種④スチューベン ブドウそのものの果実味がたっぷり味わえるのが魅力。

主に青森県で多く産出されるスチューベン。その生産量は全国の8割を占めます。ニューヨークの農業試験場が交配・育成したのが始まりで、津軽地方はニューヨークと緯度がほぼ同じで寒冷な気候が似ていることから作られるようになりました。糖度が高く香り立ち、適度な酸味もバランス良く感じられる、生食でも美味しい品種。ワインに使われることも増えてきており、単一でもブレンドでも使用されてきています。イチゴやラズベリーに例えられる独特の香りと、キリッとした風味を持つワインになります。

生食用ブドウ品種⑤デラウェア あの定番ブドウがワインに! まだ青い早摘みの果実"青デラ"を使った銘柄も人気急上昇。

小粒で食べやすい種なしブドウとしてもお馴染みの品種、デラウェア。アメリカ・オハイオ州で生まれた交雑種として輸入され、昭和のテーブルグレープとしてのイメージも強いこのデラウェアですが、種なしにする技術が1960年ごろに開発され、以降大ブームとなりました。もともとは大阪府の名産品としても知られていましたが、都市化の波や大粒ブドウの台頭で、少しずつ栽培量は減退。現在は山形県が生産量のトップ、2位が山梨県、3位が大阪となっています。デラウェアから造られたワインは、果物そのもののような甘い香りとスッキリとした味わいが特徴。最近では、まだ酸味が強い時期に収穫する早摘みのデラウェアを"青デラ"と呼び、この"青デラ"を使ったフレッシュなワインにも注目が集まっています。さっぱりとした飲み口は、料理との相性も抜群です。

生食用ブドウ品種をブレンドしたワインにも注目!

豊かなバリエーションが楽しめるようになってきた日本ワイン。生食用のブドウを使ったワインも増えるにしたがって、いろいろな試みがなされるようになってきました。生食用のブドウ品種は、単一品種のワインとしても魅力的ですが、他の品種とブレンドすることによって、さらに世界が広がります。また、じっくりと熟成させたもの、スパークリングタイプ、オレンジタイプなど、ブレンドワインをさらにどのように仕立てていくかは造り手の腕の見せどころ。日本においてポピュラーな生食用ブドウのポテンシャルを、ぜひ感じてみてください。

品種で選ぶと、日本ワインはもっと楽しい!
ブドウ品種別ガイド

ブドウ品種で選べば、日本ワインがもっと楽しくなる。日本固有種から欧州系品種まで、品種ガイドと、ワインエキスパートおすすめの銘柄を紹介します。

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