菌のすがたもちょっと公開!野生酵母発酵の日本ワイン

野生酵母(天然酵母)を使った日本ワインに、ますます注目が集まっています。見えないけれど奥深い酵母の世界を味わって、もっとワインの世界を広げて!

さまざまな個性の日本ワインのなかでも注目株。天然酵母(野生酵母)で造られたワイン。

ワインの原料であるブドウがワインに変わるために、なくてはならないのが酵母。果汁のなかの糖分を、アルコールに変える働きをすると同時に、風味や味わいを決定する大切な存在でもあります。今、ワインの世界で特に注目を集めているのが、野生酵母(天然酵母・自生酵母)による発酵です。ブドウ果実や空気中などにもともと存在する酵母菌によって、自然にブドウ果汁を発酵させるやり方で、独特のフレーバーが感じられたり、ブドウ本来の味わいが楽しめたりします。ナチュラル系ワインの流行と共に、ますます注目が集まっているカテゴリーです。

写真左から:
2020 田園ルージュ ES/4,950yen(税込)
【カーブドッチ×wa-syu】露 ~つゆ~/5,500yen(税込)
プレステージクラス テンプラニーリョ 2018/4,950yen(税込)
Cornetfish 2021 / コルネットフィッシュ 2021/3,410yen(税込)
2019 協奏曲 R (こころみシリーズ)/4,730yen(税込)
甲州 F.O.S. 2019/3,740yen(税込)

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野生酵母(天然酵母)と、人工酵母(培養酵母)による発酵は、それぞれにメリットが。

野生酵母(天然酵母・自生酵母)発酵は、独特の味わいを引き出せたり、ブドウ本来の力を感じさせるというメリットがある一方で、リスクもある製造方法。自然に任せる発酵なので、なかなか酵母が働かなかったり、味わいの方向性も思ったようにはならなかったり。発酵の過程で酸化させてしまうこともあり、コントロールが難しい造り方です。野生酵母発酵に対して、もうひとつの製造方法が、人工酵母・培養酵母発酵と呼ばれる、酵母を添加してワインを造るやり方。"人工"とはいえ、もともと自然物である酵母を培養して流通させているものなので、天然の菌の働きであることに違いはありません。こちらは、酵母菌を添加することで確実に発酵を促せるということや、思った通りの味わいにコントロールしやすくなることなどのメリットが挙げられる反面、味わいが均一化しやすく、個性が出しにくいという面も。野生酵母と培養酵母、どちらが良い・悪いではなく、目的とする味わいを引き出すために、状況に応じて使い分けているという造り手も多くなっています。

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野生酵母によるワイン造りを続ける、草分け的ワイナリー『ココ・ファーム・ワイナリー』。

『ココ・ファーム・ワイナリー』は、野生酵母発酵の日本ワインの草分け的存在。全ての銘柄を野生酵母(天然酵母)で造り出しています。栃木県・足利市に位置し、1950年代よりブドウ畑を開墾。特殊学級の中学生たちと、その担任教師・川田昇(かわたのぼる)氏によって山の急斜面にブドウ畑が開墾されました。1969年には、このブドウ畑の麓(ふもと)で、指定障害者支援施設『こころみ学園』がスタート。1984年から、『有限会社ココ・ファーム・ワイナリー』としてワインをリリースし始めています。知的障害を持った人たちをはじめ、みんなが生き生きと力を発揮できるあたらしい農業の在り方を提唱しており、自社農園では除草剤を一切使っていません。また、野生酵母(天然酵母)で丁寧に造られたワインは、国際線のファーストクラスに採用されたり、首脳会談で各国の要人をもてなす日本ワインとして饗されたりするほど。味わいの面でも、世界的に高い評価を得ています。

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これが野生酵母(天然酵母)の姿。自然発酵の場合は、いくつもの酵母菌がかわるがわる働くということが判明!

『ココ・ファーム・ワイナリー』では野生酵母を使ったワインをより深く知るために、東京大学の研究チームと共同で調査をしました。それによって、発酵課程でどのような酵母が活動しているかが判明。その結果、発酵が完了するまでに活躍する酵母は、添加酵母によく使われるサッカロマイセスだけではないことがわかったそう。その姿を捉えた貴重な写真を見せていただきました。

写真左:発酵の初期段階で活発に活動する酵母、ハンセニアスポラ・ウバラム。野生酵母でしか見られず、アルコールはあまり造りませんが、少しずつ炭酸ガスを出したりしています。このほかにも数十種類の野生酵母が入れ替わり立ち替わり活動し、発酵をすすめてゆきます。この発酵の初期段階では、添加酵母として使われるサッカロマイセスはほとんど活動していません。
写真右:数々の野生酵母が活躍した後、最後に台頭してくる酵母が、サッカロマイセス・セレビシエ。発酵力が高く、アルコールをたくさん造ることができ、香りもよい酵母なので、添加酵母として一般的に使われています。『ココ・ファーム・ワイナリー』のように野生酵母で発酵させる場合は、数々の酵母が活躍したあと最後に現れ、活発に働き始めます。

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数々の酵母が複雑に働き、最後にアルコール発酵へ至る自然発酵。時間も手間もかかるぶん、味わいに深みが。

アルコール発酵に寄与し、最終的にワインらしい味わいを造り出す酵母は、「サッカロマイセス・セレビシエ」という名の菌です。しかしながら自然発酵の場合は、その前にさまざまな種類の野生酵母が活発に働いていることが判明しました。

写真A:ココ・ファーム・ワイナリーで自然発酵させたブドウ液が、数日を経てサッカロマイセス・セレビシエが優勢になり、表面を覆ったところです。添加酵母を使用した場合は、1〜2日で確実にこのような発酵がはじまりますが、自然発酵でいくつもの酵母のバトンタッチを経てこの状態になるまでには、1週間以上かかることも。この状態になれば、あとはサッカロマイセスが頑張ってくれるので一安心だけれど、こうなるまでにはいろいろと神経を使うそう。
写真B:さらに数日が経つと発酵が進み、表面が崩れて、循環が始まります。問題なければ特に触らずにじっと待つそうです。もっとアワアワになってくると、したからボコッと大きめの泡が出現。液面下ではシュワシュワと発泡してる状態で、だんだんアルコール度数も高まっている頃です。添加酵母を使用した時と比べて、かなりゆっくりした進行です。
写真C:さらに発酵が進み、安定した段階に。タンクの中が細かい泡で循環している状態です。アルコールも出てきていて、酵母が糖分を使い尽くし、だんだん液面の泡が消えてきます。
写真D:発酵が終了し、澱引きをした残りの液。頑張った何種類もの酵母たちがたくさん沈殿している状態です。このように見ていくと野生酵母ワインと添加酵母使用ワインは、アルコール発酵という結果は同じでも、それまでの道筋が大きく異なっていることが実感できます。

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『ココ・ファーム・ワイナリー』の、ぜひ味わってみたい野生酵母発酵ワイン。

写真左から:
甲州 F.O.S. 2019/3,740yen(税込)
人気のワイン漫画『神の雫』でも登場!歴史あるオレンジワインの製法を、2004年から日本でいち早く取り入れてきた名作です。F.O.S.とはFermented On Skins(ファーメンテッド・オン・スキン/果皮の上で醗酵)の略。10年程度の長期熟成も可能なポテンシャルのあるワインです。
2019 協奏曲 R (こころみシリーズ)/4,730yen(税込)
『ココ・ファーム・ワイナリー』が、可能な限りベストなワインを造ろうという新しい「こころみ」をテーマにした「こころみシリーズ」です。1950年代に開墾された急斜面で育てられているノートン、1982年に開墾された佐野市赤見のタナ、小公子をブレンドした珍しい赤ワイン。ミディアムボディのエレガントなタイプです。

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ブドウと酵母のがんばりを堪能できる、話題のワイナリーの銘柄もチェック!

天然酵母・野生酵母による、手間暇かかる自然発酵を選択しているワイナリーのおすすめ銘柄をピックアップ。それぞれ、個性的な造りで高い評価を得ているものばかりです。固定概念を覆す驚きや、新しい味わいに出会えるかもしれません。

写真左から:
プレステージクラス テンプラニーリョ 2018/4,950yen(税込)
生産本数わずか400本!スペインにおける赤ワインの代表品種「テンプラニーリョ」を山梨で栽培、自然酵母で発酵、17カ月樽熟成させました。熟した果実のアロマにほどよい樽香、まろやかな味わいの中に凝縮された果実味が感じられます。
Cornetfish 2021 / コルネットフィッシュ 2021/3,410yen(税込)
ナイアガラを醸し(オレンジワインの手法)状態で発酵槽に静置し、染み出る液体を3日間かけて集めた旨味たっぷりの白ワインです。無清澄無濾過。亜硫酸不使用。
2020 田園ルージュ ES/4,950yen(税込)
上質な酸と余韻の長さが魅力!北海道・上富良野「多田農園」の3代目・多田繁夫氏が、入植120年を記念して造った特別な赤です。自社栽培のピノ・ノワール、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンを野生酵母で発酵させてブレンドしたミディアムボディ。
【カーブドッチ×wa-syu】露 ~つゆ~/5,500yen(税込)
日本屈指のワインリゾート"新潟ワインコースト"を牽引する『カーブドッチ・ワイナリー』とwa-syuのコラボワイン!気鋭の醸造家・掛川史人氏が手がける、特別に天然酵母で醸造したケルナー100%の白ワインです。和三盆のような口溶けの繊細な甘さとコクを感じさせる新感覚の味わいは、蟹や甘エビ、ホタテなど甘みのある魚介と相性抜群!

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ココ・ファーム・ワイナリー
栃木県足利市田島町:(有)ココ・ファーム・ワイナリー

ココ・ファーム・ワイナリー(COCO FARM&WINERY/ここふぁーむわいなりー)は、栃木県を代表するワイナリー。1958年に中学の特殊学級の教員だった川田昇(かわたのぼる)氏と特殊学級の子どもたちが、2年がかりで平均勾配38度の3ヘクタールの畑を開墾。その麓にこころみ学園が設立されました。その後ココ・ファーム・ワイナリーが設立され、醸造の認可が下りワイン造りを開始。急斜面の畑地は葡萄の生育に良いだけでなく、子どもたちの心身を鍛えるためにも重要な役割を果たしました。ワイナリーの敷地内には、こころみ学園栽培の新鮮野菜やハーブ、足利マール牛など、地元の農産物や安全な素材を中心に、 自家製ワインとともに美味しい料理が楽しめるココ・ファーム・カフェや、葡萄畑や醸造タンクも見渡せるワインショップが併設されています。

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