シリーズ・日本ワインが生まれるところ。長野『ツイヂラボ』にインタビュー!

日本ワインは人とブドウのストーリーから生まれます。ますます日本ワインが好きになる、そんな素敵なワイナリーを、wa-syuが独自取材で紹介。Vol.17は、長野県東御市『ツイヂラボ』。長野、東京、オーストラリア。栽培家と醸造家のユニットが、3つの拠点を往来する新しいスタイル。wa-syuとの限定ワインも実現した、『ツイヂラボ』にインタビュー!

新ヴィンテージの2銘柄とメルローの赤ワインのwa-syu限定コラボレーションワインを新たにリリース!

オーストラリアと長野、2拠点で活躍する醸造家、須賀貴大(すがたかひろ)さんにインタビュー。

長野県東御(とうみ)市に位置する『ツイヂラボ』は、ワイナリーが多数設立されている千曲川ワインバレーの中でも、とりわけ注目の存在です。ワインそのものが魅力的なのはもちろんですが、さらに面白いのはオーナーと醸造家のライフスタイル。オーナーの築地克己(ついぢかつみ)さんは東京での仕事を続けながら、長野との2拠点生活で夫人とともに二人体制でブドウを栽培しています。また、醸造を担当する須賀貴大(すがたかひろ)さんは、南半球であるオーストラリアにも自らの醸造の拠点を持っているため、2月から5月までをオーストラリア、9月から12月までは長野県の『ツイヂラボ』で過ごします。この2人の個性的なユニットからなる『ツイヂラボ』のワインが、『wa-syu』限定販売で登場!「もも」と「くるみ」という2匹のマスコット犬の表情が目をひくこの銘柄とワインメイクについて、須賀さんに詳しく聞きました。

【wa-syu限定】carraria Chardonnay petillant 2022/4,950yen(税込)
【wa-syu限定】carraria Chardonnay petillant 2023/5,280yen(税込)

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千曲川ワインバレーの中核、東御市。『ツイヂラボ』が位置するのは、この地ならではの個性的な小規模ワイナリーが集まるエリア!

長野県が力を入れる"信州ワインバレー構想"の中でも特に注目の地区、千曲川ワインバレー。東信から北信にかけての、千曲川流域を中心に広がっている地域です。このエリアは雨が少なく日照時間が長い気候と、水はけのよい土壌が特長で、欧州系のワイン用ブドウがさかんに栽培されています。なかでも長野県東御市をはじめとする東側の9市町村は、ワイン特区の認定を受けている地域。そのため、酒造免許を取得するための最低醸造量が、通常の6,000リットルから2,000リットルまで緩和されています。さらに新規参入するワイナリーを育成するための取り組みもあり、個性的な小規模ワイナリーも数多く誕生しています。

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築地さんによる『ツイヂラボ』の誕生。2匹の柴犬も喜ぶ環境に。

須賀さんが「一言で言って…犬好きです(笑)」と語る、オーナーの築地さん。もともと銀行員としてサンフランシスコに赴任していた築地さんは、ナパ・ヴァレーのワインを飲む機会も多く、ワインが好きになっていったそう。そんな折、築地さんのサンフランシスコ勤務時代の友人が帰国後に脱サラして、長野県東御市でブドウの栽培を始めました。「その繋がりでちょいちょいお手伝いで東御市に行くようになったみたいです。そのうち、場所も気持ちよくて過ごしやすいからと空き家を買って。近所にある『ヴィラデストワイナリー』の玉村さんや小西さんとも親交ができて、"築地くん、家買ったなら空いてる土地があるから住民票を移して畑やればいいじゃん"みたいな感じでそそのかされたそうです(須賀さん)」。開墾した今の畑にブドウを植え始めた築地さん。現在はご夫婦で行き来をしながら、40アールほどの自社畑を守っているそうです。また、愛犬である柴犬、「もも」「くるみ」も東京と長野を行き来していますが、長野県での暮らしのほうを気に入っているそうです。

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波乱に富んだ海外生活を経て、ワインと出会った醸造家・須賀さん。

いっぽう、醸造責任者である須賀さんも、かなり変わった経歴の持ち主。大学時代からバックパッカーとして海外で生活し、社会派のジャーナリストになろうと志していたといいます。「写真をやるならフランスかな?”くらいの安易な気持ちで、大学卒業後にフランスに行って。そうしたら、運良くパリコレなどの撮影の仕事を得られたんです。そんな折、現地のワイン雑誌の立ち上げにカメラマンとして参加することになり、現地のメディアに声をかけてもらいました。"じゃあ、来週からシャンパーニュに取材に行くから"って(須賀さん)」。当時はそれほどワインは飲んでなかったという須賀さん。「シャンパーニュとスパークリングワインの違いってなんですか?ぐらいのレベルの状態で行った取材先が、ジャック・セロスっていう、もう、めちゃくちゃ大御所で。僕はその超高級シャンパーニュをもうガブガブ、"うまいっすね、泡って〜!"みたいな感じで(笑)。取材費で三つ星レストランに行かせてもらったりするうちに、"へえ〜、ワインってちゃんと飲んだら美味しいんだな、ワインの世界って楽しいな"って思ったんです。その後、日本に帰国して1年間はスタジオマンとして働いてみたのですが、ワインへの気持ちが冷めなかった。それでワインのインポーターに移って、そこからワイン業界に入っていき、ソムリエの資格もとりました(須賀さん)」。

ワインを深く知るにつれて、もっとワイン造りの現場を見てみたいと考え始めた須賀さん。「清澄白河の『フジマル醸造所』に訪問して、仕込みを見せてもらい、ますますワインメイクに興味をもつようになりました」。その後、ニュージーランドやドイツ、北海道などのワイナリーで研修し、さまざまなワイン造りに魅せられるようになったと語ります。「ニュージーランドにいたときに、地元ニュージーランドのワインは片っ端から飲んでしまったので…ヨーロッパのワインは高いし、それまではぜんぜん好きではなかったオーストラリアのナチュラル系ワインが安かったので飲むようになって、片っ端から飲み漁りました。その中で特に美味しいと思った生産者さんのところに行くことにしたんです(須賀さん)」。

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オーストラリアで醸造家としてデビュー。そしてついに長野県で『ツイヂラボ』に合流!

「オーストラリアで自分のブランドのワインをスタートさせることができて、2019年『プラスパーソナルワインズ』を立ち上げました。正式には、ワイナリーの場所はシェアさせてもらっているんですが、自分の名義で、ラベルも作って、ブドウも買い付けて造っています。そうして南半球の拠点ができたのですが、北半球にも拠点が欲しいな、とずっと考えていて。『フジマル醸造所』さんにも相談していたのですが、"そういえば、長野でワイナリーを始めようとしてる変わった人がいるんだけど、興味ある?って言われて紹介されたのが、今の『ツイヂラボ』です。オーストラリアからzoomとかで話しながら、"本当に夏頃に帰ってきてくれますか?それだったらワインメーカーをお願いしたいんだけど…"みたいな感じで話が進んで(笑)。僕が帰国した1週間後に醸造免許がやっとおりて、そのままブドウの収穫を開始して…っていう感じでしたね。オーナーも長野に行き始めた当初は、まさか自分がブドウ畑やるなんて、まさかワイナリー持つなんて…って思っていたようです(須賀さん)」。

【wa-syu限定】carraria Chardonnay petillant 2022/4,950yen(税込)
【wa-syu限定】carraria Chardonnay petillant 2023/5,280yen(税込)

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必要なものだけを使う、自然なワインメイキング。野生酵母、無濾過の造りがメイン。

築地さんのもとで醸造を始めた須賀さん。「オーナー夫妻が栽培したブドウを使ったワインのほか、近隣の栽培家さんからの委託醸造をしています。ブドウを見て希望を聞いて、話し合いながらどんなワインにしたいかを決めていく感じです。基本的には自然な造りを目指していますが、必要なものを必要なだけを使う、という考えです。いつも子供で例えてるんですけれど、子供が風邪をひかないようにと、毎日たくさん風邪薬を与えたりしますか?っていう感じなんですよね。本当に病気になってしまった時に、必要な量の風邪薬を飲めばいいのかな、という考えです。でも、高熱が出て苦しそうにしているのに、何のケアしないのもまた違うと思うんです。だから、必要に応じてほんの少しSo2を入れたりすることもありますが、基本的には添加酵母は使わず、フィルターも清澄作業もなしです」。醸造に関してはほぼ任せてもらっています、と語る須賀さん。「味に関しては…オーナーは、いつも"美味しいねー"って言ってくれます(笑)。もうあとは、ブドウの農家さんと相談して決めてね、っていう感じです。委託の依頼がくると「どう?受けてもいい?」みたいな形で必ず確認してくれるので、ありがたいですね(須賀さん)」。

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オーストラリアと日本、ワイン造りにはこんな違いが!

「ツイヂラボということに限って言えば、既存の建物をリフォームして流用しているので、天井が低い(笑)。フォークリフトが使えないのが残念ですね。そのほかも、もうブドウの仕入れから、栽培環境から、何もかも違いますし、なによりも規模感が違う。これは日本ワインの良さであり、難しいところでもあるんですが、小さい仕込みが多いんですよね。『ツイヂラボ』での特徴でもあるのですが、新規就農の若い農家さんも多いので、ブドウの樹齢も若く、あんまり大量には収穫できないんです。ほんとに少ない時は数キロとかいう単位だったりするんですが、そういう小仕込みは今までどの国でもやったことがなかった。少量のキュベをたくさん造ると、もちろんワインを造る上でのリスクっていうのも増えますし…。管理という部分ではだいぶ苦労しましたし、勉強にもなっています。一方で、いろんな品種を見れて、トライアルができるのはすごく面白いですね(須賀さん)」。

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造り手が語る!wa-syu限定販売ワイン「carraria Chardonnay petillant 2022」と「KUBOTA Chardonnay 2021」。

写真左から:
【wa-syu限定】KUBOTA Chardonnay 2021/SOLD OUT
【wa-syu限定】KUBOTA Chardonnay 2022/5,610yen(税込)
久保田さんが長野県上田市の畑で育てたシャルドネを使用した、wa-syu限定販売の白ワイン。久保田さんは、東御市『ヴィラデストワイナリー』の兄弟ワイナリー『アルカンヴィーニュ』内にある、日本で初めての民間ワインアカデミー『千曲川ワインアカデミー』の4期生です。実は築地さんの奥様も、この4期生としてワインの勉強をしていました。『ツイヂラボ』の看板犬で、フラッグシップワイン「ももわん」でもおなじみの「もも」がラベルになっています。醸造を手がけた須賀さんは「こちらも野生酵母発酵、無濾過、無清澄。最後に少しだけSO2を使っています。樽の中で澱ごと熟成させてるので、澱のうまみがしっかり出てるかなと思います。個人的に合わせて食べたいのは、タイ料理のパッタイ。そんなに辛くしすぎない、ナンプラー多めのパッタイが合うな、と思います。僕の妄想としては、"あたし先行くからカギはそのままポスト入れといてね。じゃ、またね。と言って、寝てる僕の頭をポンポンしてくる姉の友人"という感じです(須賀さん)」。

【wa-syu限定】carraria Chardonnay petillant 2022/4,950yen(税込)
【wa-syu限定】carraria Chardonnay petillant 2023/5,280yen(税込)
wa-syu限定販売のもう一本は、長野県北佐久郡立科町のヴィンヤード「carraria(カラリア)」の中村大祐(なかむらだいすけ)さんが育てたシャルドネを、『ツイヂラボ』で須賀さんが醸造したスパークリングワイン。フルーティーな辛口微発泡タイプです。ラベルの写真は『ツイヂラボ』の看板犬「くるみ」。フラッグシップワイン「くるみん」のモデルとしてもお馴染みの柴犬です。「野生酵母で瓶内一次発酵させたペティアンです。フィルターなし、清澄作業もなし、SO2添加もなしです。ブドウ栽培家の中村さんは他でも委託醸造をしている方で、"他と被らないものは何かないですか?"って相談があって。白のスティルや樽熟成もやったと聞いて、"じゃあ泡ですね"って、ペティアンになりました。酸をしっかり残したタイプなので、キリッと冷やした状態でパチっとした酸を楽しんでもらうイメージですね。個人的には、秋刀魚に酢橘(すだち)のイメージです!あとやっぱり、旨味がひとつのキーになっていると思います。これは僕の妄想なんですが(笑)、体育の授業が終わって着替えてる時に「男子まだ⁉遅いんだけど!」と言って、着替え中にも関わらず先陣切って扉を開けてくる女子のイメージです(笑)(須賀さん)」。

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ワインは世界観を表現できる飲み物。気軽に楽しく飲んでもいいし、難しくうなりながらも飲んでいい。

「長野にはこれだけワイン造りが盛んなのに、そもそも県内の人でも、ワイナリーがあることを知らない人もいるんです。この間もびっくりしたんですけど、ブドウ農家さんですら、"え?長野でワイン造ってるの?"っていう人もいるみたいで。東御市に住んでる期間も、ゴミ回収の日にビンを捨てに行くんですが、誰もワインのビンを出していないんです。そもそもワイナリーが認識もされてない、ローカルが誰も飲まないっていう状況は、他のどの国に行っても見たことがない。日本ってそこが特殊だなと思って、まず地元に広げていくために何ができるかなと考えながらやっているところです。ワインは世界観を表現できる飲み物。僕も、ワインを飲んでいていろいろなテイスティングコメントや音楽、映像などが浮かんで来るんです。だから面白いんですよね。マナーなどはさておいて、もっと楽しく気軽に飲んでもいいですし、うんうん難しくうなりながらも飲んでもいいですし。みなさんに自由なスタイルで、たくさんお酒を飲んで欲しいなと思います!(須賀さん)」。

【wa-syu限定】KUBOTA Chardonnay 2021/SOLD OUT
【wa-syu限定】KUBOTA Chardonnay 2022/5,610yen(税込)

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PROFILE
須賀貴大(すがたかひろ)/ツイヂラボ醸造責任者

1989年東京生まれ。スペインや南米に留学し、社会主義の研究していたところ、モロッコやエジプトにて「アラブの春」を目撃。ジャーナリストを目指して渡仏。パリコレクションのカメラマンを経て、ワイン雑誌のカメラマンに。ワイン産地で取材を重ねるうちにワインに興味を持つ。2014年、ワインの輸入会社に入社。その後、清澄白河フジマル醸造所との出会いをきっかけに醸造家に転身。2016年より日本や世界のワイン産地で研鑽を積む。2019年、オーストラリアに自社ワイナリー『Plus Personal Wines(プラスパーソナルワインズ)』開設。2020年より、代表・築地克己(ついぢかつみ)氏が立ち上げた長野県東御市『ツイヂラボ』の醸造責任者に就任。ソムリエの資格も持つ。

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ツイヂラボ
長野県東御市和:築地克己

ツイヂラボは、オーナーの築地克己(ついぢかつみ)氏が2020年に長野県東御市に設立したワイナリー。2016年、東御市にてワイン用ブドウ栽培を開始。2019年、長野『ヴィラデストワイナリー』にて委託醸造、シャルドネを初リリースしました。築地氏は、銀行勤務を経て、現在は経営コンサルティング会社に勤務。東京と東御の2拠点生活で経営コンサルタントとワイナリーオーナーを担っています。ソムリエの資格も有する、醸造責任者の須賀貴大(すがたかひろ)氏は、オーストラリアにも拠点を持ち、季節の逆転する南半球と北半球で年2回ワイン造りをおこなうワインメーカーです。自社栽培のシャルドネによる白ワイン『ももわん』、メルローによる赤ワイン『くるみん』がフラッグシップワイン。看板犬の柴犬「もも」と「くるみ」がラベルに描かれています。その他、栽培家からの委託でさまざまなワイン造りをおこなっており、ワイナリー名の「ラボ=研究所」を体現しています。

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Sold out
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ワイン造りの現場にwa-syuが特別インタビュー!
シリーズ・日本ワインが生まれるところ。

日本ワインは人とブドウのストーリーから生まれます。ますます日本ワインが好きになる、そんな素敵なワイナリーを、wa-syuが独自取材でご紹介!

 

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日本ワインで、日本をもっと深く知る。
エリア別ワイナリーガイド

日本の感性と職人技を生かした名品が次々と誕生し、国内外の食通を惹きつけながら、進化し続ける日本ワイン。南北に長い日本列島の各地で栽培・収穫されたブドウのみを使用し、日本国内で製造された「日本ワイン」は、その地域の気候や品種によって性質もさまざまで、そのため多様性に富んだ味わいが特徴です。北は北海道、南は九州・沖縄まで。日本全国より、wa-syuが厳選した50以上のワイナリーをエリア別ガイドでご紹介します。

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