勝沼トンネルワインカーヴ(中央本線旧深沢トンネル)は、鉄道と切っても切れない関係にあった、日本のワインの歴史を雄弁に語る遺構。
現在、ワイン貯蔵庫として使用されている中央本線旧深沢トンネルは、明治35年(1902年)に貫通、翌明治36年(1903)に開通したトンネルです。アーチ型の美しいレンガ造りの姿は、実に120年の時を経て、今にその姿を留めています。平成9年(1997年)、近隣に新トンネルが開通するまで、現役として働いていた旧深沢トンネル。その後平成17年(2005年)に、JR東日本より旧勝沼町に譲渡され、再びワインと共に歩む、カーヴとなって生まれ変わったのです。近代化産業遺産に認定されており、「日本遺産・日本ワイン140年史~国産ブドウで醸造する和文化の結晶~」の一部をなす「旧大日影鉄道隧道・旧深沢鉄道隧道及び周辺の隧道遺構」としても認定され、ワイン通の憧れの地としても知られています。
wa-syu限定醸造、『シャートー勝沼』の「シグナチャー甲州 2019」は、勝沼トンネルワインカーヴでじっくり熟成。
wa-syuのみで購入できる限定醸造ワインとして、『シャトー勝沼』がリリースした「シグナチャー甲州 2019」。常務取締役・今村恒朗(いまむらつねお)氏が自ら手描きでデザインも手がけた「シグナチャーワイン」で、醸造責任者が署名を入れる特別なワインという意味を持つ自信作です。山梨県勝沼で "最高峰の銘醸地”と称される「鳥居平(とりいびら)」の、完熟した日本固有種の甲州ブドウを100%使用。アメリカンオーク樽で発酵させたのち、ワインにとって理想的な環境である「勝沼トンネルワインカーヴ」で12カ月瓶内熟成させています。やや辛口でコクのある味わいは、凝縮感のある果実味とほのかに甘い樽香を感じさせてくれます。
いよいよ中に潜入!年間を通して温度14℃、湿度70%に保たれた、ワインにとって理想的な空間へ。
トンネルの入り口から中へ。明治期の貴重なレンガ積みの壁面が圧巻です。実はこのトンネルと鉄道は、ワイン造りと大変深い関わりがありました。中央本線が開通したことによって、山梨のブドウやワインは大消費地・東京に直接運ぶことができるようになり、その需要も一気に増加しました。それまでは馬車で何日もかけて運んでいたブドウやワインを、大量に半日あまりで運ぶことが可能になったのです。ブドウの生産量もワインの生産量も飛躍的に増え、山梨県・勝沼地区は、首都圏に一気にその名を広めました。またトンネルの開通までは、長時間の輸送に耐える品種として比較的酸味の多い甲州種が多く流通していましたが、様々な品種を市場に送ることもできるようになったそう。さらにブドウやワインが運ばれてゆくだけではなく、旅客も運ぶことができたことから、観光ブドウ園も早くから設立され、大いに賑わいました。今で言う6次化産業や、ワインツーリズムといったスタイルが、当時からいち早く取り入れられていたのです。
入り口から見えるのは、個人の契約オーナーのスペース。キャンセル待ちが100人以上とも。
トンネルの内部は年間を通して自然に温度は14度に保たれており、夏は涼しく冬は暖かい空間。湿度は70%に管理されており、きれいに整備された構内の壁面にはズラリと棚がならんでいます。この黒いラックは、一つひとつ個人のオーナーに貸し出しているもの。キャンセル待ちが100人以上とも言われるほど人気で、なかなか空きが出ないということです。ワインカーヴの入り口横には駐車場と管理棟が併設されているので、職員に声をかけると、誰でも見学させてもらえます。ただし通常の見学エリアは、このラックが並ぶ手前の入り口付近まで。プライバシー保護の意味もあり、オーナー契約をしている人だけが奥まで入れます。
さらに先へ進むと、施錠されたエリアへ。ここから先は、契約している企業しか入れない、本当の深層部へ。
wa-syu限定で発売されている名品「シグナチャー甲州 2019」が熟成を重ねたその現場を見学するべく、勝沼トンネルワインカーヴのさらに奥へと潜入。今回は特別に常務取締役である『シャトー勝沼』今村恒朗(いまむらつねお)氏に案内していただきました。深層部のスペースを契約しているのはほんの数社。なかなか足を踏み入れることはできないので、貴重な機会となりました。
古い標識もそのまま残る、レンガ造りの壁面に歴史を感じて。奥まで続くラックが圧巻。
勝沼トンネルワインカーヴ(旧深沢トンネル)は全長1,104m。標識は国鉄時代の古いものがそのまま残っています。このあたりから先が見えないくらい奥まで続くのが、企業が契約しているスペース。夏は涼しく、冬は暖かい理想の空間で、数々の名品が誕生しているのです。かなりの距離のラックを契約している老舗『シャトー勝沼』の今村氏は、フランス・チーズ鑑評騎士団・オフィシエ、シャンパーニュ騎士団・シュヴァリエ、山梨大学「ワイン科学士」、ソムリエと、多くの肩書きを持ち、日本ワインの世界でも注目の存在。料理人でもあり、その腕とフランスでの見聞を発揮して、この地より次々と素晴らしいワインを生み出しています。
旧深沢トンネルの向かい側には、同じく近代化産業遺産である旧大日影鉄道隧道も。
現在のJR勝沼ぶどう郷駅から続く旧大日影鉄道隧道は、そのまま旧深沢トンネル(ワインカーヴ)へと続いている鉄道遺構。こちらも明治36年に開通し、地域のワイン産業の振興に大きな役割を果たしてきました。その役目を終えた後も、遊歩道として一般に公開されていましたが、現在は経年劣化の予防対策のために閉鎖されています。勝沼トンネルワインカーヴの入り口から振り返ると、隣接するその見事なレンガ造りの入り口や、鉄道のレールを見ることができます。
シャトー勝沼
山梨県甲州市勝沼町:(株)シャトー勝沼
シャトー勝沼(CHATEAU KATSUNUMA/しゃとーかつぬま/シャトーカツヌマ)は、"日本のモンラッシェ"と言われる「鳥居平(トリイヴィラ/とりいびら)」、そして隣接する銘醸地「菱山(ひしやま)」を中心に山梨県・勝沼で広大な自社畑を所有する、老舗シャトー(ブドウ畑を所有するワイン醸造所)です。明治初頭、勝沼町で葡萄の栽培を手がけていた初代が、「今村葡萄酒醸造場」として設立。勝沼産の良質なブドウを使用した少量生産のこだわりのワインからデイリーで楽しめるお手頃価格のワインまで多彩なワインを醸造しています。敷地内には、地産地消をベースにした、落ち着いた空間の中で味わう本格フレンチレストラン「レストラン鳥居平(トリイヴィラ)」を併設しています。
▼「シャトー勝沼のアイテムリスト」はこちら
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