新たなブドウ栽培地での、挑戦が育む個性。四国エリアのワイナリー

新しくブドウ畑の開墾を始めるワイナリーが少しずつ登場してきた四国4県。まだまだ醸造所の数は少ないけれど、個性の強いラインアップが楽しめます。

温暖な気候と豊かな自然、四方を海に囲まれて。四国エリアからは、『wa-syu』がセレクトした、2つの魅力あふれるワイナリーをラインアップ。

四方を海に囲まれ、大小いくつもの島を擁する四国エリア。4つの県は四国山地や讃岐山脈で分断されており、瀬戸内海側と太平洋側でも大きく気候が違います。瀬戸内海側は雨が少なく温暖で、みかんなどの果実の栽培がさかん。太平洋側は特に台風が多いことでも有名な、温暖で雨量も多い地域です。また四国全域には清流が多く残されており、吉野川(よしのがわ)や四万十川(しまんとがわ)、仁淀川(によどがわ)などの美しい風景も有名です。ただし、いずれの地域もブドウの栽培例はあまり多くはありません。そんな中、1989年を皮切りに、四国にもいくつかワイナリーが誕生します。各県に1〜2場という少ない数ではありますが、そのラインアップは個性派ぞろい。2019年には愛媛県の大三島に『大三島みんなのワイナリー』が完成。2021年には、最後までワイナリーがなかった徳島県にも『Natan(ナタン)葡萄酒醸造所』が誕生しています。

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新しく植えられたブドウ畑から生まれる、個性的なワインたち。完売必至の希少銘柄も!

四国4県には、ワイン専用品種のブドウの栽培例はほとんどありませんでした。観光農園などで生食用ブドウは栽培されていましたが、栽培面積も多くはなく、そのほとんどが地元で消費されているのみでした。1989年には、四国で最初のワイナリーが香川県に誕生しましたが、それ以降しばらくは、新しいワイナリーは誕生していませんでした。そんな中、新規就農の醸造家や、移住組を中心とした、まったく新しい取り組みとしてのブドウ栽培がスタート。それまでは栽培されていなかったワイン用ブドウ栽培にチャレンジしたり、従来からある生食用ブドウを使った醸造にトライするなどの試みがなされました。今回『wa-syu』で紹介する『大三島みんなのワイナリー』『Natan葡萄酒醸造所』のワインは、どちらも小規模生産で丁寧に醸造された、個性あふれる銘柄です。

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抜栓すれば、風光明媚な瀬戸内の島の風景が目に浮かぶ。柑橘の耕作放棄地をよみがえらせた『大三島みんなのワイナリー』。

抜栓すれば、風光明媚な瀬戸内の島の風景が目に浮かぶ。柑橘の耕作放棄地をよみがえらせた『大三島みんなのワイナリー』。

瀬戸内海にぽっかりと浮かぶ、愛媛県の島・大三島。大山祇(おおやまずみ)神社が鎮座し"神の島"とも呼ばれるこの島は、広島県尾道市と愛媛県今治市とを7つの橋で結ぶ自動車道路、しまなみ海道沿いにある美しい島です。この大三島に、愛媛県で2番目、しまなみ海道で唯一のワイナリーが誕生しました。醸造家は、2015年に『大三島みんなのワイナリー』立ち上げのメンバーとして、島に移住してきた川田佑輔(かわたゆうすけ)氏。ソムリエでもある氏は、代表である建築家・伊東豊雄(いとうとよお)氏のプロジェクトに賛同し、地元に根付いたワインカルチャーを造るべく奮闘しています。大三島は、年間を通して比較的雨が少ない瀬戸内気候。ブドウの成熟にとってはいい環境です。また、豊富にあるミカンを使った珍しいお酒も人気を博しています。

栽培醸造家・川田佑輔(かわたゆうすけ)氏コメント:
大三島のワインを飲むことで、この土地を感じていただけると嬉しいです。そして、次は大三島にぜひ来てください。本当にいいところですので!

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大三島みんなのワイナリー

[名称]大三島みんなのワイナリー/株式会社大三島みんなのワイナリー
[ワイナリー住所]愛媛県今治市大三島町宗方5208-1
[ワイン販売住所]愛媛県今治市大三島町宮浦5562 大三島みんなの家
[ワイン販売所営業時間]10:00〜16:00
※月曜日定休
※ワイナリー見学は要問合せが必要です。

[概要]伊東豊雄建築ミュージアムの開館をきっかけに、島の魅力を表現する方法の一つとして2015年11月に株式会社大三島みんなのワイナリー(えひめ産業振興財団地域密着型ビジネスに認定)が設立されました。ワイナリー代表は、建築家の伊東豊雄(いとうとよお)氏。2015年に耕作放棄地を開墾しシャルドネ・ヴィオニエを、翌年にはマスカット・ベーリーAを植樹。2017年に大三島産醸造用ブドウを初収穫し、委託製造によるワイン製造をスタート。2019年秋に大三島醸造所が完成し、今では栽培から醸造までを一貫して大三島島内でおこなっています。大三島を象ったロゴは、日本を代表する著名なグラフィックデザイナー、原研哉(はらけんや)氏がデザイン。

ワインへの愛が止まらない!徳島県で唯一、女性醸造家が造る媚薬のようなナチュラルワイン、『Natan葡萄酒醸造所』。

徳島県で初めてのワイナリー『Natan(ナタン)葡萄酒醸造所』が、女性醸造家・井下奈未香(いのしたなみか)氏によって、2021年に誕生しました。もともとは、奈良県でソムリエをしていた井下氏が、結婚を機に徳島県に移住。ワインが好きすぎて、"もっとワインと関わりたい。造り手になりたい"と考えるようになったそうです。新規就農で、まわりにはブドウを栽培しているところはほとんどない中で、小さな畑を少しずつ借りてスタート。徐々に収量を増やし、魅力的な銘柄をリリースしています。三好市は、徳島県の中では香川県に近い気候で、四国山地の恩恵を受けて台風も少ない瀬戸内海性気候。日照時間も多く、降雨量も少ない土地柄で、除草剤は使わず、教科書通りの選定にもこだわらず、ブドウの生育を見極めた栽培に力を入れています。また醸造は、無添加・無清澄・無濾過。添加酵母も使用せず、酸化防止剤も極少、もしくは無添加でワインを造っています。葡萄の音や香りや味わいを感じながら、気体や温度、作業のタイミングなどにより、ワインへと変化してゆく道筋を誘導しています。魔女の姿を象ったワイナリーのシンボル、アートを感じるボトルなど、ちょっとミステリアスで個性的な注目のナチュラルワインです。

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Natan葡萄酒醸造所

[名称]Natan葡萄酒醸造所/有限会社WORLD COLLECTION
[住所]徳島県三好市池田町マチ2187-7
[ワイナリー営業時間]9:00~16:30
※土曜日・日曜日・祝日定休

[概要]奈良のワインバーでソムリエとして活躍していた井下奈未香(いのしたなみか)氏が、"栽培・醸造・お客様とのご縁に対し一貫して愛を添えて向き合います=「and love」"を理念に、徳島県三好市池田町に設立した徳島県初のワイナリー。井下氏はワインと醸造家の関係性に嫉妬し、ソムリエから醸造家に転身。大阪の「島之内フジマル醸造所」での委託醸造を経て、2021年に自社醸造を開始しました。ロゴモチーフでもある「魔女」は、ワイナリーのシンボル。「ブドウと微生物の力だけで醸されるワインは、人々を酔わせて、つい本音を語らせる、魔女の媚薬のような存在」と考える井下氏が「あなたに溶け込む魔女の媚薬」をテーマに、ブドウ栽培からワイン造りまでをおこなっています。ほどよく寒暖差や乾燥がある徳島県三好市での栽培は、「ともに自然に生きること」を大切に、要らない処置はせず、ブドウたちがこの地で長く健康に暮らしていけるように、環境整備を徹しながら、6カ所の圃場(2023年現在)でさまざまな品種が育てられています。醸造は、ブドウそれぞれの個性を活かすことを基本とし、自然の産物をそのまま感じてもらうため、添加物に頼らず、温度や気体などの環境資源とともに味わいを引き出していくことをモットーにしています。濾過はおこなわず、素材のありのままを生かすことで、生きたワインたちとの、その瞬間瞬間の二度とない出会いをお客さまに感じていただけることを願いながらワイン造りをおこなっています。

日本ワインで、日本をもっと深く知る。
エリア別ワイナリーガイド

日本の感性と職人技を生かした名品が次々と誕生し、国内外の食通を惹きつけながら、進化し続ける日本ワイン。南北に長い日本列島の各地で栽培・収穫されたブドウのみを使用し、日本国内で製造された「日本ワイン」は、その地域の気候や品種によって性質もさまざまで、そのため多様性に富んだ味わいが特徴です。北は北海道、南は九州・沖縄まで。日本全国より、wa-syuが厳選した50以上のワイナリーをエリア別ガイドでご紹介します。

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ワイン造りの現場にwa-syuが特別インタビュー!
シリーズ・日本ワインが生まれるところ。

日本ワインは人とブドウのストーリーから生まれます。ますます日本ワインが好きになる、そんな素敵なワイナリーを、wa-syuが独自取材でご紹介!

 

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