気鋭の醸造家、福山わいん工房の古川和秋さんが自社以外でセレクト。いま、日本ワインで選ぶならこの4本

新しいスタイルのワイナリー『福山わいん工房』を、広島県・福山で営む古川和秋(ふるかわかずあき)さん。あえて自社以外の銘柄で、おすすめの日本ワインを4本選んでもらいました。

スパークリングを中心に、夫婦2人で営む『福山わいん工房』。仏・シャンパーニュでの経験が生きる、新しいタイプの都市型ワイナリーに注目!

広島県・福山市で、2016年からワイナリーを営む古川和秋さん。古川さん自身はもともとフレンチのシェフとして活躍。フランス・シャンパーニュ地方でも経験を積む中で、スパークリングワインに興味を持つようになったそう。日本に戻ったのち、あえてJR福山駅から歩いてすぐの商店街を選び、アクセスしやすいアーバンワイナリー(都市型ワイナリー)として『福山わいん工房』をスタートさせました。福山市は降水量が少なく、昔からブドウ栽培が盛んな土地。特に日本固有種であるマスカット・ベーリーAは生食用としてたくさん栽培されていましたが、ワイン用として造っていた農家はほとんど皆無でした。そこで古川さんが働きかけて、今ではワイン用にと種ありの理想的なブドウ栽培に取り組んでくれる農家も増えたそう。ご夫婦2人だけで営む小さなワイナリーながら、その本格的な味わいと、地域とのつながりを大切にしたスタイルは、日本ワイン界でも話題となっています。現在は少しずつ、自社でのブドウ栽培にも取り組み始めているという古川さん。ますます進化する『福山わいん工房』の動向は見逃せません。

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シェフとしての目も確かな醸造家・古川さんが、自社以外で選んだのはこの4本。

「今回の4本を選んだポイントは2つあります。1つめは、"街中ワイナリー"のワインであるということで、「東京ワイナリー」「島之内フジマル醸造所」から一本ずつ選びました。『福山わいん工房』はこの2つのワイナリーをモデルケースとしています(勝手にですが)。いろいろと試行錯誤して、広島県福山市の商店街でワインを造ろうと思い至るまでには欠かせないワイナリーであり、尊敬をしているワイナリーでもあります。2つめのポイントは、日本ワインの中で、品種の特徴をしっかりと表現しているワイナリーであるということ。『福山わいん工房』が目指すべき目標として、「ルサンクワイナリー」「奥出雲葡萄園」のワインを選びました(古川さん)」。

※左から3番目の画像はイメージです。「マスカット・ベーリーA 2019」は完売しました。

写真左から:
ルサンクワイナリー/2017 シャルドネ 樽熟
奥出雲葡萄園/メルロ
島之内フジマル醸造所/マスカット・ベーリーA 2019
東京ワイナリー/山形県高畠町デラウェア醸し 2020

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古川さんおすすめ① 造り手の人柄が表れていることを、あらためて感じさせる『2017 シャルドネ 樽熟』。

「このワインを選ばせていただいた理由は、ワイン醸造には人柄や醸造者の性格がとても反映されているなと、思うからです。阿部さんの人柄がよく出ている優しい味わいと、芯がしっかりとしているところが大好きです。ワインは柑橘系の香りにパイナップルを少し感じ、樽からのトーストやクローブ、ナツメグのニュアンスと、後味にかすかに残るヨーグルトなどの乳酸発酵からの風味があり、ワイン全体の厚みを出していてとてもボリューム感のある味わいになっています。また、日本ワインらしさという部分があり、それはボリューム感の中に穏やかさを感じることで、日本のチーズとの相性がとてもいいように感じました(古川さん)」。

ルサンクワイナリー[新潟]
2017 シャルドネ 樽熟/4,730yen(税込)

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古川さんおすすめ② 品種の特性をしっかりと引き出せる醸造にリスペクトする『メルロ』。

「このメルローに限らず、奥出雲葡萄園さんのワインはどれも大好きで、"品種の特性をこんなに出せる醸造を私たちもやりたい"と思うワイナリーさんです。特にこのメルローは、赤系果実のクランベリーやラズベリーの香りにブラックチェリーやブラックベリーの黒系果実の香りもうまく調和されており、バランス感覚が優れているワインというイメージです。ドライハーブやドライイチジク、香辛料の黒コショウ、クローブ、シナモンの風味により奥行きも余韻も広がります。なめらかなニュアンスですが、どことなく野性味もあるため、キノコや山菜を使った料理とペアリングしたいワインです(古川さん)」。

※画像はイメージです。2019ヴィンテージは完売しました。現在の取り扱いは、2020ヴィンテージです。

奥出雲葡萄園[山梨]
メルロ 2019/SOLD OUT
メルロ 2020/4,070yen(税込)

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古川さんおすすめ③ 抜栓から飲み進めると、印象ががらりと変わってくる面白さのある『マスカット・ベーリーA 2019』。

「フジマル醸造所さんは、『福山わいん工房』設立時から、モデルケースとしてリスペクトしているワイナリーです。マスカット・ベーリーAの甘い香りが印象的で、特に抜栓後には、ストロベリーや、レッドチェリーのチャーミングな赤い果実の印象が強く、心地の良い少量の揮発酸のニュアンスがグラスを持つ手を進めてしまいます。温度が上がるにつれ、スミレの風味が立ち上がり、落ち着いた雰囲気に変わっていき、印象ががらりと変わります。マグロの赤身やカツオのカルパッチョをベリー系のソースで食べたい(古川さん)」。

※画像はイメージです。「マスカット・ベーリーA 2019」は完売しました。

島之内フジマル醸造所[大阪]
マスカット・ベーリーA 2019/SOLD OUT

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古川さんおすすめ④ エスニック料理を合わせたくなる爽やかな味わい『山形県高畠町デラウェア醸し 2020』。

「東京ワイナリーさんといえば、都市型ワイナリーとして、とても参考にさせていただいているワイナリーです。デラウェアらしい、優しくも芳醇な香りが印象的で、金木犀などのオレンジ色の花や、オレンジ、ミカンといった柑橘の甘やかな香りが、飲む前から"美味しそう"とそそられます。口に含んだ後も期待は裏切られることなく、イメージ通りの風味が広がり、さらにハーブの香りが後味を爽やかにさせるので、ベトナム料理やタイ料理を食べたくなりました(古川さん)」。

東京ワイナリー[東京]
山形県高畠町デラウェア醸し 2020/2,640yen(税込)

福山わいん工房
広島県福山市霞町:株式会社enivrant

福山わいん工房(Fukuyama Wine Kobo/ふくやまわいんこうぼう/フクヤマワインコウボウ)は、スパークリングワインを中心とした福山初のワイナリーです。オーナーであり醸造責任者である古川和秋(ふるかわかずあき)氏は、地元のブドウで醸造するワインを目指し、昔からマスカット・ベーリーAの栽培(生食用として)が盛んな福山で2016年にワイナリーをオープン。場所はJR福山駅からすぐの商店街にあり、アクセスしやすいアーバンワイナリー(都市型ワイナリー)です。古川和秋氏は料理人出身のため、料理と一緒に飲んでもらうことを考えて醸造。また、ブドウのポテンシャルを大事にして、できるだけブドウの特徴が生きるようにと考えています。

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品種で選ぶと、日本ワインはもっと楽しい!
ブドウ品種別ガイド

ブドウ品種で選べば、日本ワインがもっと楽しくなる。日本固有種から欧州系品種まで、品種ガイドと、ワインエキスパートおすすめの銘柄を紹介します。

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日本ワインで、日本をもっと深く知る。
エリア別ワイナリーガイド

日本の感性と職人技を生かした名品が次々と誕生し、国内外の食通を惹きつけながら、進化し続ける日本ワイン。南北に長い日本列島の各地で栽培・収穫されたブドウのみを使用し、日本国内で製造された「日本ワイン」は、その地域の気候や品種によって性質もさまざまで、そのため多様性に富んだ味わいが特徴です。北は北海道、南は九州・沖縄まで。日本全国より、wa-syuが厳選した50以上のワイナリーをエリア別ガイドでご紹介します。

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