初入荷!日本酒の感性を、日本ワインに。杜氏が手がける新感覚の果実酒、山形県鶴岡市から到着『HOCCA WINERY』

山形県鶴岡市発・日本酒の造り手が担う、次世代のワイン造りとは?老舗の酒蔵が手がける新機軸『HOCCA WINERY(ホッカワイナリー)』。

日本酒の蔵元が、ワイン造りをスタート。両方のお酒を手がける醸造責任者・阿部龍弥さんにインタビュー!

山形県鶴岡市にある日本酒蔵が、シードルとワインを造り始めている…。そんな珍しい蔵元『奥羽自慢(おううじまん)株式会社』の前身は、創業1724年の老舗『佐藤仁左衛門酒造場』でした。「創業から300年近く続いた『佐藤仁左衛門酒造場』ですが、経営不振と後継者不足で、廃業に追い込まれていました。そんな折、支援を申し出たのが山形県酒田市の創業1832年の日本酒蔵『楯の川(たてのかわ)酒造』。代表の佐藤淳平(さとうじゅんぺい)が事業を継承し、2012年に『奥羽自慢株式会社』という形で再スタートを切りました。この『奥羽自慢株式会社』が新事業として、2018年に始めたのがワイナリー事業『HOCCA WINERY』なのです」と語ってくれたのは、醸造責任者・阿部龍弥(あべりゅうや)さん。阿部さんは現在日本酒とワイン、両方の醸造責任者を務めていますが、もともとは親会社である『楯の川酒造』に、瓶洗いのアルバイトとして通い始めたのだそう。日本酒造りの不思議さに、次々に疑問が生まれてきて、それを解決していくうちにどんどん醸造の面白さに魅せられていったということです。

▼「HOCCA WINERYのアイテムリスト」はこちら
▼「山形エリアのアイテムリスト」はこちら

やりがいを感じている日本酒の醸造と、新たに始まったワインやシードルの醸造。両方のお酒に携わることに。

「高校を出てから別の会社に入っていたのですが、東日本大震災をきっかけに本当にやりがいのある仕事を探そうと思って辞めたんです。実はもともとお酒が飲めなかったので、地元の蔵元のことも全く知らなくて。『楯の川酒造』でのアルバイトを選んだのは全くの偶然でしたが、そこで日本酒の醸造にめぐり会い、社長のところに“社員として雇っていただきたいです”って直談判しに行きました」と語る阿部さん。「僕が日本酒の醸造を担当するようになって8年ほど経った2016年ごろ、もっと世界に発信できるものを造ろう、ワイナリーを立ち上げよう、という構想が立ち上がり、2018年からワインの醸造も始まりました。昨年のヴィンテージでは、ちょっとブドウのワインは休止していて、地元産リンゴを使ったシードルを造っています。今年の秋は地元の農家さんからブドウを買い付けることが決まっていて、再びブドウのワインを醸造することになっています(阿部さん)」。『奥羽自慢株式会社』では、古い茅葺(かやぶ)きの日本酒蔵と、赤い屋根のワイナリーが並んでいるという、珍しい光景が見られます。

▼「HOCCA WINERYのアイテムリスト」はこちら
▼「山形エリアのアイテムリスト」はこちら

似て非なる、醸造の仕事。日本酒とワイン、共通点や違う部分は?

日本酒の醸造と、ワインやシードルの醸造を並行しておこなうことになった阿部さん。「日本酒とワインは、同じ醸造酒なのですが、共通したところって…ほぼないなと思って(笑)。その中でも、酵母菌を使って造るというところは共通しているので、酵母を人間がサポートする、っていう部分は一緒なのかなと思いました。両者の異なる点としては、日本酒の方が、醸造工程の部分にかなりウエイトが置かれていて。醸造工程は複雑ですが、お米が調達できれば、ある程度のクオリティの日本酒ができます。また日本酒の場合は、発酵が終わって絞ってしまったら、基本的には瓶に入れて冷蔵庫で保管しておくだけです。でもワインに関しては、ブドウ原料のウエイトがかなり大きいですし、発酵自体は比較的シンプルですが、その後の工程がさまざま。発酵完了後の澱引きや、どんな樽にどんな風に入れるかとか、そういったところで、かなり味わいが変わってきます(阿部さん)」。

▼「HOCCA WINERYのアイテムリスト」はこちら
▼「山形エリアのアイテムリスト」はこちら

小さな会社ならでは。日本酒造りのメンバーがそのまま、シフトでワイナリーに移動。

「大手の酒造会社さんなどで、日本酒部門とワイン部門が分かれていて、それぞれのお酒を造っているところはあると思います。ただうちの場合は小さい蔵で、人数も営業や事務を含めて10人しかいなくて。日本酒を造っているメンバーがそのままワインも造っているので、そういうところは、全国的にも少ないんじゃないかなと思います(阿部さん)」。製造に関しては、阿部さんを含めて3〜4人、繁忙期に手伝いに来てくれる人を含めて7人ほどでやるそうですが、ワイン造りと日本酒造りが被ってる時期はかなり忙しいといいます。「午前中に日本酒を、集中して造ってしまって。午後から2人だけワインの棟に移動して、するって形で造っていたりします。同じ発酵といっても、ワイン造りに使う酵母菌は、日本酒の発酵の妨げになることもあるので、同じ場所では造りません。必ず日本酒を造った後にワイン造りに入り、ワインの醸造所に行った人はその日はもう日本酒を触らないなどの工程は徹底しています。ただ、日本酒の造り手が造るワインだからこそ出来ることもあると思うので、そこを感じ取ってもらえると嬉しいなと思っています。例えば『HOCCA』のワインを飲んだ人から、酸がどことなく日本酒っぽいね、というのはよく言われるんですが、やはりどこかに日本酒のニュアンスがあるのかな、と思います。さらにゆくゆくは日本酒の方で、ワインのニュアンスを感じさせるようなものを探求していけたらと…。やっぱり、両方のお酒を一緒に造ってるからこそできること、最終的には何かしらこう、両者が融合した液体ができたら面白いなと考えています(阿部さん)」。

▼「HOCCA WINERYのアイテムリスト」はこちら
▼「山形エリアのアイテムリスト」はこちら

コンセプトが楽しい『HOCCA』。ラベルや銘柄にもストーリーがあって。

日本酒の蔵元が造るワイン『HOCCA』は、その珍しさと共に、コンセプトデザインの楽しさも大きな特長です。「ホッカというブランド名は、農家さんがよく被っている「ほっかむり姿」からイメージした造語なんです。「美しさ」「健気さ」「実直さ」「微笑ましさ」をワインに付与したいとの想いから、造った言葉です(阿部さん)」。コンセプトデザインは、山形に拠点を置いて活動している『杉の下意匠室』が担当しているそう。「絵本の世界をイメージして作られていて、ひとつ一つのラベルにストーリーがあって。例えば赤い屋根の山小屋で造るワインを、アイコンでもある「赤ずきん」が運ぶ。飲む人を幸福にする果実酒を巡る、いろいろな人や動物が登場します。キーカラーである「赤」は、地元を流れる「赤川」が由来なんです(阿部さん)」。

▼「HOCCA WINERYのアイテムリスト」はこちら
▼「山形エリアのアイテムリスト」はこちら

『wa-syu』に初入荷される銘柄へのこだわりを、醸造家・阿部さんに聞きました!料理とのペアリングも楽しみたい赤ワインは、ツヴァイゲルトとシラー。

写真左:HOCCA Zweigelt 2020/4,400yen(税込)
写真右:HOCCA Zweigelt 2021/4,950yen(税込)
「ツヴァイゲルトの大きな違いは、2020は樽に入れていないということです。かなりフレッシュで果実味のある、淡い赤色の赤ワインにしたくて、醸し発酵も3日くらいで終わらせてさっと絞ったのですが、想定以上にどっしりしたものが出来上がってきました。もともと樽に入れる予定ではなかったので、ステンレスタンクで保存。色も濃くて味も濃いのですが、そこまでタンニンが強くなく、重厚だけど飲みやすいワインです。ツヴァイゲルトの2021ヴィンテージの方は、樽に入れて仕上げています。ただし樽熟の期間もそんなに長くせず、8カ月くらいで引き上げて、樽香をつけすぎないようにしています。そこから瓶熟に入っていて、重厚感もありつつ、ツヴァイゲルトらしくまとまってきていると思っています。ツヴァイゲルトは濃いので、合わせる食も濃いものや、しっかりしたものがおすすめ。ボロネーゼや、果実味もあるのでリンゴやアプリコットのタルトなどの甘いものも合うんじゃないかと思います(阿部さん)」。
写真中央:HOCCA Syrah 2020/4,950yen(税込)
「これは、シラーなんですが、あまり色が出なかった年。ツヴァイゲルトと同じ時期に造っていたのですが、シラーは逆に色も出したい、 タンニンもしっかり出したかったので、長めに醸し発酵させていたんです。MLFも合わせると2~3週間くらい醸し発酵して、その後に絞っているのですが、なかなか色が出なくて…。結果的には、シラーなのにロゼっぽい、でもタンニンがしっかりしている、面白いシラーができたと思います。おすすめペアリングは迷っているのですが、シラーらしくないシラーみたいな立ち位置なので、単体で飲んでもらうのも面白いんじゃないかなと思います。もし合わせるとしたら、魚介系、ちょっとあっさりした白身魚系がいいかなと、個人的には思います(阿部さん)」。

▼「HOCCA WINERYのアイテムリスト」はこちら
▼「赤ワインのアイテムリスト」はこちら

味わいと色合いにもこだわった白ワインは、ピノ・グリとシャルドネ。

写真左から:
HOCCA Pinot Grit 2021/4,950yen(税込)
「ピノ・グリはあまりキレイに造ると日本酒のような色になってしまうので、若干色の印象を強くしたいなと思って、プレス機の中で2~3時間スキンコンタクトをしています。ロゼまではもちろんいかないですが、黄色がかったちょっと赤っぽいような感じの色味を出しています。シャルドネと比べると、若干こう赤っぽいかな?くらいな感じですね。樽香もしっかり感じられるので、ローストしたチキンもおすすめです。あと、シールキャップの視覚的なイメージから連想した部分もあるのですが、オレンジとかみかんを使ったサラダもペアリングすると美味しく楽しめます(阿部さん)」。
HOCCA Chardonnay 2021/4,950yen(税込)
「シャルドネだけ、樽に全部移して、その中樽発酵させているので、1番樽香がついてると思っています。シャルドネらしい軽やかで綺麗な味わいなんですが、しっかり樽も香って、重厚さもありつつ、酸の骨格が、よりしっかりしています。ちょっと奥行きを感じさせてくれる味わいです。このシャルドネのブドウは、酒田市の海に近い砂地で作られたので、少し塩味というか、ミネラル感を感じるような部分もあるので、焼き鳥屋さんの、塩の串がいいですね!(阿部さん)」。

▼「HOCCA WINERYのアイテムリスト」はこちら
▼「白ワインのアイテムリスト」はこちら

受賞歴多数!力を入れて造っている王道シードル『HOCCA Cidre Dry』。

HOCCA Cidre Dry/1,870yen(税込)
「うちが今造れる、いちばん王道なシードルです。ふじ、紅玉と、あと早生品種のふじ。この3種類のリンゴを、バランスを見ながらブレンドしています。ガスボリュームも結構高めで、4くらいあるので、すっきりシャープに飲めるタイプです。冷やしていると、かなり爽やかな口当たりが楽しめて、酸味が際立ってくるのですが、やや常温に戻していくと優しいリンゴらしい甘みが出てくると思います。個人的に一番好きなペアリングは、こちらも焼き鳥。ただし、これはタレの串が合うと思います(阿部さん)」。シードルは、2019年の「Fuji Cider Challenge(フジ シードル チャレンジ)」でゴールドを受賞、「JAPAN CIDER AWARDS(ジャパン シードル アワード)」では、テイスト部門「日本ドライ500ml以上の部」星2つ、デザイン部門「ラベルの部」では、最高評価の星3つを獲得しています。

▼「シードルのアイテムリスト」はこちら

HOCCA WINERY(ホッカワイナリー)

[名称]HOCCA WINERY/奥羽自慢株式会社
[住所]山形県鶴岡市上山添字神明前123番地

[概要]山形県鶴岡市にある日本酒蔵『奥羽自慢(おううじまん)』が手がけるワイナリー。若手醸造家、阿部龍弥(あべりゅうや)氏が日本酒とワインの醸造責任者を務めています。『奥羽自慢』の前身である『佐藤仁左衛門酒造場』は、創業1724年の老舗。2012年に、経営不振と後継者不足で存続の危機に直面していたところ、山形県酒田市の創業1832年の日本酒蔵『楯の川(たてのかわ)酒造』代表の6代目、佐藤淳平(さとうじゅんぺい)氏が支援。事業を継承し、『奥羽自慢株式会社』を設立しました。その後、果実酒およびリキュールの製造免許を取得し、2021年に設立されたのが『HOCCA WINERY』です。雄大な山々に囲まれた自然豊かな山形県庄内平野に流れる「赤川(あかがわ)」のほとりで、日本ワインとシードルを造っています。ワイナリー名の「HOCCA(ホッカ/ほっか)」は、農家が作業時の汚れや怪我を防止するためなどに頭部にかぶる「ほっかむり(頬被り)」をイメージした造語です。「美しさ、健気さ、実直さ、微笑ましさ」をワインでも表現したいとの想いから名付けられました。HOCCA WINERYのキーカラーとなっている「赤」は、「赤川」が由来。ロゴやラベルデザインは、山形県のデザイン事務所、杉の下意匠室が手がけています。HOCCA WINERYでは、アイコンでもある「赤ずきん」が運ぶワインのような、飲む人を幸福にする果実酒を目指しています。

▼「HOCCA WINERYのアイテムリスト」はこちら

Sold out
Sold out
Sold out
Sold out
Sold out
Sold out

日本ワインで、日本をもっと深く知る。
エリア別ワイナリーガイド

日本の感性と職人技を生かした名品が次々と誕生し、国内外の食通を惹きつけながら、進化し続ける日本ワイン。南北に長い日本列島の各地で栽培・収穫されたブドウのみを使用し、日本国内で製造された「日本ワイン」は、その地域の気候や品種によって性質もさまざまで、そのため多様性に富んだ味わいが特徴です。北は北海道、南は九州・沖縄まで。日本全国より、wa-syuが厳選した50以上のワイナリーをエリア別ガイドでご紹介します。

▼「産地リスト」はこちら
▼「ワイナリーリスト」はこちら

RELATED ARTICLE

関連記事

2023.09.05

【知られざるワイン王国!山形県のワイナリー】 ブドウの生産量は全国3位、日本ワインの生産量は全国4位。質の良いブドウの生産地であり、国内随一のポテンシャルを持つと言われる山形県にフォーカス!

2023.08.30

【ほっこり和める!どうぶつラベルの日本ワイン】 見ているだけで、置いておくだけで、会話も弾む。動物がラベルに描かれた日本ワインは、味わいへの想像も膨らみます。動物好きの人と飲むのも一興です

2023.08.16

【軽さと多様性が魅力!リンゴのシードル、洋梨のポワレ】 日本ワインのワイナリーが手がけるリンゴや洋梨のお酒、シードル&ポワレ。近年ますます盛り上がっている新ジャンルは、進化と深化が止まらない!

TOP