シリーズ・日本ワインが生まれるところ。愛媛『大三島みんなのワイナリー』にインタビュー!

日本ワインは人とブドウのストーリーから生まれます。ますます日本ワインが好きになる、そんな素敵なワイナリーを、wa-syuが独自取材で紹介。Vol.5は、愛媛県今治市大三島町の『大三島みんなのワイナリー』。

大三島の日本ワインを抜栓すれば、風光明媚な瀬戸内の島の風景が目に浮かぶ。柑橘の耕作放棄地が、美しいワインを産み出すまで。

瀬戸内海にぽっかりと浮かぶ、愛媛県の島・大三島。大山祇(おおやまずみ)神社が鎮座し"神の島"とも呼ばれるこの島は、広島県尾道市と愛媛県今治市とを7つの橋で結ぶ自動車道路、しまなみ海道沿いにある美しい島です。この大三島に、しまなみ海道で唯一のワイナリーが2015年に誕生。『大三島みんなのワイナリー』という、ちょっと変わった名前のこの醸造所には、世界的な建築家と若き醸造家が紡いだ、深いストーリーがありました。

写真左から:
2021 島紅メルロー×マスカットベーリーA/3,300yen(税込)
2021 島みかん うんしゅうスパークリング DEHASHIRI/2,310yen(税込)
2021 島みかん うんしゅうスパークリング DEHASHIRI[375ml]/1,320yen(税込)
2021 島みかん HANAZAWA NATURE 温州スパークリング[375ml]/1,650yen(税込)
2021 島白 シャルドネ100% 樽熟成/4,950yen(税込)

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栽培・醸造責任者、川田佑輔さん。"この島でワインを造りたい!"と移住を決意、しまなみ唯一のワイナリーで、奮闘中!

2015年に『大三島みんなのワイナリー』立ち上げのメンバーとして、島に移住してきた川田佑輔(かわたゆうすけ)さん。ワイナリー設立の計画が持ち上がった時は、山梨大学で醸造学を学ぶ学生だったそう。「もともとは別の大学に行っていたのですが、ワインに関わる仕事をしようと思って、都内でサービスマンやソムリエとして働いてました。そのうちにやっぱり自分で造る方向に行きたいなと思って、山梨大学に入学しなおして、ワインの醸造学を学ぶコースへ。大学4年生の時にこのプロジェクトのことを聞いて、代表である建築家・伊東豊雄(いとうとよお)に"大三島でワインを造りたいです!"と話して。それで移住をしたんです(川田さん)」。2015年に、大三島に初めて醸造用ブドウを植栽して、川田さん自身も移住。「2016年は、植えたブドウがちょっとだけなったんですけれども、実はイノシシに全部食べられてしまい、その年は収穫できずじまい。2017年に、ようやく初収穫できたんです!そのときは島の中に醸造できる施設がなかったので、その後数年は岡山の『domaine tetta(ドメーヌテッタ)』に委託醸造をお願いしました。2019年の秋、島内に醸造所が完成。はじめて大三島で栽培したブドウを島内で醸造して、100%大三島産という形でリリースができました(川田さん)」。現在は、同プロジェクトを通して島で出会った祥子さんと共に、地元に根付いたワインカルチャーを造るべく、夫婦で日々奮闘しています。

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世界的な建築家・伊東豊雄さんが、プロジェクトの発案者。『大三島みんなの家』がつなぐ島の絆が、どんどん広がってゆくまで。

『大三島みんなのワイナリー』プロジェクトを立ち上げたのは、実は世界的な建築家として活躍する伊東豊雄さん。日本国内はもちろん海外でも活躍し、国内外の受賞作品も多い伊東さんは、近年"みんなの"というキーワードのもと、その活動の場を広げています。「もともと伊東代表が、3.11の震災があったときに仮設住宅のプロジェクトに関わっていたんです。そのことが、集会場のあり方っていうのを考えるきっかけとなったそうで、"もっと人が集えるような場所を作りたい"ということで、『みんなの家プロジェクト』が始まりました。東北の震災のほか、熊本の震災の時なども、みんなが集える場所を作る取り組みをしていて。その大三島版が『大三島みんなの家』です」と川田さん。「伊東代表も、もともと大三島とに所縁があったわけではないんです。けれども2011年、大三島に『今治市伊東豊雄建築ミュージアム』がオープン。そのミュージアムがきっかけで、伊東代表は大三島へ足を運ぶ機会が増え、この島に惚れ込んでしまって。もともと伊東代表は、若い建築家を育てるための塾をつくりたいと考えており、そのための場をここ、大三島にも造りたいという想いがあったようです。そしてまず実現したのが、『大三島みんなの家』。若い人が少なくなり高齢化で元気がないこの土地で、古民家のリノベーションをしたり、耕作放棄地を使って新しい島の特産を作ろうというプロジェクトの一環でした(川田さん)」。2013年からスタートしたこのプロジェクトには、島の高校生や地域の人も参加。大山祇神社の参道にあった​元法務局の建物をリノベーション、味わいのあるスペースへとリニューアル。この『大三島みんなの家』は、カフェやギャラリー、コミュニティースペースとして活用されていましたが、現在は『大三島みんなのワイナリー』のオフィスやショップとなっています。

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穏やかな瀬戸内海を臨む、斜面に広がる美しい畑。地域の契約農家と力を合わせ、真砂土(まさつち)の土壌でイチから取り組む丁寧なブドウ作り。

もともと広い耕作地がなく、斜面の多い島の土地。戦前はタバコや除虫菊、蚕などの産業がほとんどだったそう。柑橘の栽培が盛んになったのは戦後のことだそうで、もちろん、ブドウ栽培の歴史はほとんどない。「もともと柑橘畑だったところが主なんですが、耕作放棄地は本当に多くて。もう森に還ってしまって、何が植わっていたのかも判らないようなところも結構あって、開墾はやっぱり大変でした。30〜40年ぐらい前の写真を見ると、同じ場所でも未開墾のところがなくて、全部柑橘畑なんです。でも今は、すっかり山に還ってしまっている。実際ここに暮らしていて、やはり耕作放棄と高齢化は切実な問題だというのは、年々感じます」と川田さん。「今、自社畑が2.5ヘクタールありまして、あとは大三島島内に契約農家さんが5軒。合計で3ヘクタールほどブドウを栽培しています。ただし契約農家といっても、ブドウを育てたことがある人は1人もいない。みんなで資材の組み立てや苗木の植え付けまで一緒にやり、意見交換しながら栽培しています。ここの土壌は花崗岩(かこうがん)が砕けてできた石まじりの土で、真砂土という土質。非常に水はけがよく、雨が降っても全然地面が濡れてないように見えるくらいです。また、年間を通して比較的雨が少ない、いわゆる瀬戸内気候なので、特に8月、夏場の雨がすごく少ない。1カ月ぜんぜん雨が降らない年もあったりするので、ブドウの成熟にとってはすごくいい環境ですね。ただ、裏を返すと水持ちが悪く、どうしても土が痩せてしまいます。また温暖なので、酸が落ちやすい傾向はあるので注意して栽培しています。白品種では、今メインで育てているのがシャルドネ、あとはヴィオニエ。また一昨年、ピノ・グリ、アルバリーニョ、あとゲヴェルツトラミネールを植えました。ゲヴェルツトラミネールは寒冷地のブドウなのですが、個人的にいちばん好きな品種なので(笑)実験的に植えている、という感じです。黒ブドウ品種に関しては、マスカット・ベーリーAとメルローをやっています。カベルネ・ソーヴィニヨンも栽培してるんですけれども、これはまだちょっと収穫できない状態です。あとはキャンベル・アーリー。これは、実は苗木屋さんにマスカット・ベーリーAを頼んだんですが、育ててみたらキャンベル・アーリーだったんです(笑)」。

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収穫は、ボランティアや苗木オーナとみんなで取り組むのが『大三島みんなのワイナリー』流。固定概念にとらわれない醸造で、本当に美味しいものを!

ワイナリーに従事しているのは、現在3名。事務全般は、川田さんの奥さま、祥子さんが担当、残りの2人が栽培醸造に従事しています。「2021年は、ブドウのワインの生産数が約7,500本。さらに柑橘とかイチゴでもお酒を造ってるんですが、そういったブドウ以外のものがだいたい3,000本ぐらいです。将来大三島でワイナリーをやりたい、という研修生や、アルバイトの力を借りて、頑張っています(川田さん)」。それにしても、収穫や選果は大変なのでは?「『大三島みんなのワイナリー』では、苗木のオーナー制度というのがありまして、収穫のときは毎年、そのオーナーさんがたにお声がけしてボランティアで来ていただき、一緒に収穫するんです。去年は170名ぐらい来ていただいて、みんなで収穫しながら病果選別したり。そういったみなさんのお力を借りてやっています。毎日たくさんの人が来て、お祭りのようで楽しいですね! 醸造に関しては、収穫したブドウを見て、なるべく余計なものは入れずに造るように心がけています。また、近隣にワイナリーもなく、島内にもワインを飲む人が少ないということもあるので、まずは本当に美味しいものを造って、この島にワインカルチャーを根付かせたい。"ワインってこうじゃなきゃいけない"っていう固定概念はちょっと置いておいて、柑橘でお酒を造ったり、黒ブドウと白ブドウをブレンドしてみたり、赤ワイン用のブドウで白ワインを造ったり、この島ならではの美味しさや、島の雰囲気っていうのを出せるような、そういった醸造ができたら、と思っています。大三島のワインを飲むことで、このしまなみの大三島という土地を感じていただけると嬉しいです。そして、次は大三島にぜひ来てください。本当にいいところですので!(川田さん)」。

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『大三島みんなのワイナリー』から、wa-syuがセレクトしたワイン① 2021 島紅 メルロー×マスカット・ベーリーA

「『大三島みんなのワイナリー』では、赤ワインは、"島紅(しまんか)"、白ワインの方は"島白(しましろ)"という名で出しています。この「2021 島紅 メルロー×マスカット・ベーリーA」は、このヴィンテージから、品種がわかりやすいようにラベルのデザインを変えました。代表の伊東の描いたスケッチで瀬戸内の風景を描いています。メルローに関しては、当初ロゼ用に使おうとしていた、色づきがあまり良くなくて酸が残っていて、その代わりに香りが非常によいものだけを収穫して醸し、このブレンドに使っています。マスカット・ベーリーAは、赤ワイン用に収穫したものを使って醸し期間をかなり長く、1カ月半ほど取って、色やうまみを余すことなくタンクの中で抽出。その2種のワインを、最後ブレンドして味わいを整えてリリースしました。メルロー単体だと、香りは華やかですが、ちょっと味わいが抜けてしまう感じ。マスカット・ベーリーA単体だと、イチゴのような香りが出ますが、ちょっと酸味や華やかさに欠ける。この二つをブレンドすることで、足りない部分を補い合うことができました。メルロー由来の、梅やダークチェリーのような香り。マスカット・ベーリーAのイチゴのような、綿あめのような甘い香り。長く抽出したことによる、木の樽のような香りも感じられます。甘さと木の香ばしさを、キャラメリゼしたリンゴなどに合わせたマリアージュがおすすめです。また、ちょっと出汁っぽい感じもあるので、お醤油っぽい日常の和食やすき焼きなどに、気軽に冷やして楽しむのもおすすめです(川田さん)」。

2021 島紅メルロー×マスカットベーリーA/3,300yen(税込)

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『大三島みんなのワイナリー』から、wa-syuがセレクトしたワイン② 2021 島白 シャルドネ100% 樽熟成

「白ワインの"島白(しましろ)"のシリーズで、シャルドネを使って樽熟成しています。2021年ヴィンテージは、8月が非常に荒れた天気になり、日照不足+雨が多いという中でかなり栽培で苦労しましたが、なんとか病気を出さずに収穫できました。MLFと呼ばれる乳酸発酵をあえてさせずに、フレッシュな酸を残しながら、樽の香りを合わせた仕上がりです。香りとしては洋梨や、桃、あとは樽由来のバニラの香り。あと蜂蜜の香りもあり、非常に果実味が残る、アロマティックな香りに仕上がっていると思います。合わせるのは、オムレツなどの卵料理やチーズ。レシピ担当のスタッフのおすすめも、"しらす入りチーズ卵焼き"です。また、ちょっとロースト香が入る料理も合うと思います。ベーコンを焼いたものや、皮目から焼いて香ばしく仕上げた鯛、イノシシのロースト。焼いた香りと樽の香ばしさを合わせた料理も提案できるかなと思います(川田さん/祥子さん)」。

2021 島白 シャルドネ100% 樽熟成/4,950yen(税込)

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『大三島みんなのワイナリー』から、wa-syuがセレクトしたワイン③ 柑橘のフルーツワイン、島みかんシリーズ

珍しい柑橘のお酒は、世界でも他にほとんど類を見ない新ジャンルのお酒。「『大三島みんなのワイナリー』では、島内の柑橘を100%使って、ワインと同じ製法で造ったお酒を「島みかん」というブランドでリリースしています。瓶内ニ次発酵という造り方で、ビンの中に泡を閉じ込めてスパークリングに仕上げたタイプ。使っているのは「温州ミカン」というミカンの品種です。「2021 島みかん うんしゅうスパークリング DEHASHIRI」は、出走(ではしり)地区の柑橘を使い、亜硫酸塩を一切使わず仕上げて、柑橘の酸味を楽しんでいただけるように造っています。柑橘のフレッシュな酸味があるので、ぜひ冷やして食前酒として。アルコール度数もそんなに高くないので、できれば外で楽しく飲んでいただきたいです。ペアリングに関しては、少し尖った酸味や個性的な香りもありますので、エスニック、スイートチリソースとかナンプラーとか、そういうものとすごく相性がいいです。またラム肉を使ったジンギスカンなど、ちょっとだけクセがあるものとの相性が抜群です。もう一種類の島みかんは、「2021 島みかん HANAZAWA "NATURE"温州スパークリング」。こちらのキュベは、契約農家の花澤伸浩さんが、完全無農薬で作っている柑橘を使用。それを酸化防止剤を使わずビンに詰めた、ナチュールタイプのスパークリングです。"DEHASHIRI"はフレッシュで、柑橘の酸味を楽しめるタイプですが、"HANAZAWA"の方は、柑橘のジューシーな味わいも一緒に楽しんでいただけます。食前酒としてもいいですし、最初の食中酒としても楽しんでいただければと思います。ハーブのようなグリーンな感じも最後にちょっとあって、柑橘なんですけれども、複雑味のある香りが表現できているかなと思います。ペアリングですが、大三島のイノシシって柑橘を食べていたりするのであまり臭みがないので、ローストしたものでもちょうど合うかと思います。また、最後にレモンを浮かべて食べる"イノシシレモン鍋"っていう鍋料理もおすすめです。イノシシのうまみとレモンの酸味、お野菜のうまみでいただくっていうお鍋なんです(川田さん/祥子さん)」。

2021 島みかん うんしゅうスパークリング DEHASHIRI/2,310yen(税込)
2021 島みかん うんしゅうスパークリング DEHASHIRI[375ml]/1,320yen(税込)
2021 島みかん HANAZAWA NATURE 温州スパークリング[375ml]/1,650yen(税込)

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大三島みんなのワイナリー
愛媛県今治市大三島町宮浦:(株)大三島みんなのワイナリー

大三島みんなのワイナリーは、島の魅力を表現する方法の一つとして2015年11月に設立。えひめ産業振興財団地域密着型ビジネスにも認定されました。ワイナリー代表は、建築家の伊東豊雄(いとうとよお)氏。栽培醸造責任者の川田佑輔(かわたゆうすけ)氏を中心に、2015年に耕作放棄地を開墾しシャルドネ・ヴィオニエを、翌年にはマスカット・ベーリーAを植樹。2017年に大三島産醸造用ブドウを初収穫し、委託製造によるワイン製造をスタート。2019年秋、大三島に自社の醸造所が完成し、今では栽培から醸造までを一貫して島内でおこなっています。大三島を象ったロゴは、日本を代表する著名なグラフィックデザイナー、原研哉(はらけんや)氏がデザイン。

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日本ワインで、日本をもっと深く知る。
エリア別ワイナリーガイド

日本の感性と職人技を生かした名品が次々と誕生し、国内外の食通を惹きつけながら、進化し続ける日本ワイン。南北に長い日本列島の各地で栽培・収穫されたブドウのみを使用し、日本国内で製造された「日本ワイン」は、その地域の気候や品種によって性質もさまざまで、そのため多様性に富んだ味わいが特徴です。北は北海道、南は九州・沖縄まで。日本全国より、wa-syuが厳選した40以上のワイナリーをエリア別ガイドでご紹介します。

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