シリーズ・日本ワインが生まれるところ。滋賀『ヒトミワイナリー』にインタビュー!

日本ワインは人とブドウのストーリーから生まれます。ますます日本ワインが好きになる、そんな素敵なワイナリーを、wa-syuが独自取材で紹介。Vol.10は、滋賀県東近江市の『ヒトミワイナリー』。

"にごりワイン"といえば『ヒトミワイナリー』。日本の無濾過ワインの、草分け的存在!

ナチュラル系日本ワインの人気は、この数年高まるいっぽう。一口にナチュラル系といってもさまざまなスタイルがありますが、無濾過・無清澄の自然な造りのワインを日本でいち早く手がけた『ヒトミワイナリー』は、その草分け的存在と言えるでしょう。それまでは市場になかった"にごりワイン"にチャレンジし、ナチュラル系ワインの新たな道を切り拓いた『ヒトミワイナリー』の、モノ造りの現場に迫ります。

写真左から:
CHARDONNAY cuvee Ohura 2017 シャルドネ キュベオオウラ/3,630yen(税込)
Lush Delaware 2015/2,310yen(税込)
DELAOle (デラオレ) 2021/2,970yen(税込)
Steuben 2020 スチューベン/2,420yen(税込)
h3 IKKAKU (イッカク) 2021 赤/2,530yen(税込)
h3 Caribou (カリブー) 2021 Lot2 白/2,530yen(税込)
MBA cuvee city farm 2018 エムビーエーキュベ シティ ファーム/3,740yen(税込)
Yama Sauvignon 2020 ヤマソーヴィニヨン/3,190yen(税込)

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栽培醸造家・石本隼也氏に聞いた、ヒトミワイナリーの足跡。

滋賀県東近江市に位置し、民芸運動の中心的作家、バーナード・リーチを主とした美術館が併設されているなど、他にはない個性を持つ『ヒトミワイナリー』。この地出身でアパレルメーカー『日登美(ひとみ)株式会社』を創始した図師禮三(ずしれいぞう)氏が、60歳になったのを機に"本当にやりたいことをやろう"とスタートさせたのが、『ヒトミワイナリー』です。ワイナリーは1991年に設立され、近隣には自社の圃場も構えています。現在は、石本隼也(いしもととしや)さんが醸造長を務めています。「創始者の図師会長は、民芸の作品を探しにフランスなどに行くこともあって、そこでワインに出会ったと聞いています。この東近江市は会長の故郷の地であって、土壌の強みも特になく、ブドウの適地として特別に選ばれた訳ではないのですが、結果的には関西のほかの地域に比べると若干降雨量が少なめなのは幸運でした。また、もともと40年ほど前からマスカット・ベーリーAを育ていていた地域でもあるので、古い木の果実も手に入ります。ウチの6カ所くらい点在している自社畑は、傾斜のないフラットな土地。近くに愛知川が流れている扇状地です。自社では赤がマスカット・ベーリーAとメルロー、カベルネ・サントリー、シラー。白ではシャルドネとソーヴィニヨン・ブランを栽培しています。カベルネ・サントリーは『サントリー』が開発したのですが、2002年くらいに栽培をやめてしまっているブドウ品種。現存するのはおそらくウチだけなので、今は増やしているところです(石本さん)」。

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山形県のデラウェアとの深い関わり合い。自社栽培へのこだわりも。

自社栽培のブドウに加え、滋賀県内や日本各地で生産されたブドウを原料として使用している『ヒトミワイナリー』。中でも山形県のデラウェアとは、関わり合いが深いそうです。「一昨年は100トンのブドウを仕込んだのですが、そのうち40トンは山形県から買い入れたデラウェアです。以前ウチで醸造長を務めていた岩谷さん(現・イエローマジックワイナリー代表)は、それまで生食用としてしか使われていなかった山形のデラウェアを、醸造に用いるということを始めた人。その流れもあり、今も山形県からのブドウをたくさん買い入れています。栽培に関しては農家さんに委ねていますが、なるべく契約農家さんの所へ直接足を運んで話し合ったり、毎年反省会をしたりして、ワインに合った収穫時期を調整するなどのやりとりをしています」。一方、自社栽培に関しても徹底したこだわりがあるという石本さん。「極力薬は使わず、使うとしても有機のみ。にがりなどの天然成分を葉面散布に使ったり、梅雨時期にボルドー液を何回か撒くこともありますが、無理には撒きすぎず、2〜3回くらいにしています。また、5〜6月だけは雨よけのビニールをかけたりしています。土壌は、絞りかすで堆肥を作ってたまに蒔いたり、下草として生えてくるスギナを乾燥させて煮詰めた液体を撒いて、ケイ素などを補給したり。手間はかかりますが、こだわって続けています(石本さん)」。

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画期的だった"にごりワイン"の誕生。当初はクレームや返品となってしまったことも!

1991年にワイナリーがスタートした当初は、やはり時代に合わせて甘味果実酒を造ったり、輸入果汁を使ったりしていたという『ヒトミワイナリー』。「当時醸造長を務めていた岩谷さんも、最初は普通にワインを濾過して造っていたそうです。でもそのうちに、"タンクに入っているそのままの、にごったワインのほうが美味しいやん!"ということで、’93年ごろから"にごりワイン"の試作がスタート。’97年には機械栓による酸化防止剤無添加の発泡にごりワインを発売。2006年には全てのワインを、無濾過の"にごりワイン"としました。当初は"にごりワイン"という概念も市場にはなく、クレームが多かったことから、看板にも『にごりワインのヒトミワイナリー』と謳うようになったのです。私たちのワインは、濾過しない、清澄作業もしない、澱引きのみでSo2(酸化防止剤)も無添加のワイン。また、シンプルにブドウを潰して絞って、余計なものを加えずに自然酵母で発酵させています。自然酵母は発酵の過程で糖分をすべて使い切ることはないので、残糖感もある味わい深いワインとなります。"にごりワイン"も広く認知していただくようになったのですが、最近はむやみに"にごらせる"ことなく、バランス良くキレイに澱引きをすることも多いので、逆に"にごっていないな"と言われたりします(笑)(石本さん)」。

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ナチュラル系ワインの旗手としてますます人気に。安定した価格帯も強みに。

「僕がワインにハマり始めたのは、ナチュラル系ワインを飲み始めてからのことだったんです。だから、ヒトミワイナリーの"にごりワイン"には、もともとまったく抵抗はなかったですね」と語る石本さん。「ナチュラル系ワインがブームだと言われていますが、"ナチュラル系"の定義は曖昧ですよね。ウチは栽培に関しては買いブドウが多いというのもあり、農家さんに委ねることになりますので、なんとも言えないところです。ただし醸造に関しては、単純にブドウを潰して、絞って、何も加えずに澱引きして…ということでやっているので、自然な造りだ、と言えるかと思います(石本さん)」。ワイナリーとしての強みを訊ねると、「ウチはある程度歴史があって、安定的な生産ができますし、So2を使わない自然な醸造を手がけるワイナリーとしては、製造本数も多いほう。だから同じようなスタイルで造っている他の小規模ワイナリーに比べると、価格的にすごく安定してお届けできていると思うのです。製造本数もあって低価格、それは強みかなと考えています(石本さん)」。

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おしゃれなラベルデザインは、醸造長が自ら描くのが伝統?

『ヒトミワイナリー』の魅力は、"自然な造り"や"安定した価格"だけではありません。そのおしゃれなラベルデザインも大きな特長です。「実はラベルは、自分で描いています。岩谷さんの時代から"造った人が描く"という決まりがあって(笑)。絵は好きなので、趣味程度ですがインスピレーションで描いてしまっています。僕は銘柄に名前をつける時も、ついダジャレっぽいのをつけがちで。そこから絵も合わせて描いている感じで、あまり深い意味はないんです(笑)。でも、ぱっと見て印象に残るようなラベルデザインもあったほうがいいな、という気持ちもあって、頑張って全型描いています(石本さん)」。

写真左から:
DELAOle (デラオレ) 2021/2,970yen(税込)
ゴクローサワー 2021 白/2,640yen(税込)
Chardonnay Girl 2020 シャルドネ・ガール/3,630yen(税込)

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肩肘張らずに、毎日の食卓に。そんなふうにワインを取り入れて欲しい。

「ウチの場合は、ナチュラル系ワインというジャンルに分類してもらっていることが多いのですが、そのブームの力は実感しています。昔は、ワインって若い人はあまり飲まないものだったように思うのですが、ナチュラル系のワインは、若年層にすごく広がっているように感じていて。敷居が下がったというか、手に取ってもらいやすくなったような気がします。あとは全体的に日本ワインの価格帯がもう少し落ち着けば、もっとデイリーにワインが消費されるようになってくるので、それによって日本ワイン全体が盛り上がってくるのではないかと感じています(石本さん)」。さらに石本さんに、wa-syuへのメッセージをいただきました。「僕らのワインは、日常で活用して欲しいワインです。"疲れた〜"って帰ってきた時でも、ご馳走などは用意しなくても、日々のご飯を食べながら楽しんでいただけたら嬉しいです。だから料理とのペアリングもあまり考えていなくて。いつもの食事に合わせてもらえばそれでいいかなと思っています」。

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wa-syuで取扱中のワインを、醸造責任者・石本さんが詳しく解説!

写真左から:
h3 IKKAKU (イッカク) 2021 赤/2,530yen(税込)
「赤のスパークリングワイン。2021ヴィンテージはマスカット・ベーリーAのみで造りました。山梨県産のマスカット・ベーリーAをマセラシオン・カルボニック法で仕込み、プレス後にオリと一緒にタンクで落ち着かせた後、補糖を行い瓶詰めすることで、瓶内二次醗酵ワインに仕上げています。ブレットの香りが出ているヴィンテージですが、食事と一緒ですと美味しく味わっていただけると思います。ソース系、お好み焼きなどもすごく相性がいいです(石本さん)」。
h3 Caribou (カリブー) 2021 Lot2 白/2,530yen(税込)
「h3はデラウェアで造っているスパークリングのシリーズ。瓶内二次発酵なのですが、上白糖などは添加せず冷凍の果汁を使って造ることで、澱が茶色くならず、よりフレッシュな表現ができているのではないかと思っています。ヴィンテージやロットによってもアロマの出方が違っていて、2021年のLot2は、収穫を遅めにしたもので、酸が少なめになっています。2021年は、ブドウの出来としては今ひとつのところがあって、アロマが少ないかなという感じだったのですが、アロマが出過ぎてしまうと逆に邪魔だと感じることもあります。そういう意味で、ワインとしてできあがってみるとすごく美味しくなったヴィンテージです(石本さん)」。

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写真左から:
Steuben 2020 スチューベン/2,420yen(税込)
「ロゼなのですが、色味はオレンジに近い感じで、スキンコンタクトをしています。スチューベンはしっかりと熟した方が、果実としては美味しいのですが、このロゼを造るときは、農家さんにはあえて早めに収穫して酸を残して欲しい、というお願いをしたりしています。2020年ヴィンテージは少し完熟寄りのものを使っているので酸が少なめですが、濁りを結構入れており、旨みのある一本に仕上がっています(石本さん)」。
Yama Sauvignon 2020 ヤマソーヴィニヨン/3,190yen(税込)
「ヤマソーヴィニヨンは酸が強いブドウなので、醸しすぎると嫌みなテイストになりやすいところがあるので注意して。2〜3日で色味もすぐ赤く出てしまうので、色は赤ワインなのですが、ロゼのような仕込みで造っています。タンニンなどの抽出もしていないため、"ヤマソーヴィニヨンは強くて苦手"という方にも飲んでいただけるかなと思っています。品種に特有の酸はしっかりしているので、梅しそ系というか、そこに旨みが乗っていて美味しい味わい。ソースが合うので、お好み焼きや、タレの焼き肉などと合わせたいです(石本さん)」。

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写真左から:
MBA cuvee city farm 2018 エムビーエーキュベ シティ ファーム/3,740yen(税込)
「山梨県産のマスカット・ベーリーAを使っているので、しっかりとベリー香が出ていると思います。『シティーファーム』が手がける果実なのですが、滋賀県内のマスカット・ベーリーAや、ウチが自社で栽培しているマスカット・ベーリーAとはぜんぜん違うテイストに仕上がっているので、そこは面白いと思います。山梨県のベーリーAは、よく言われているベーリーAの特長が顕著に出ているのですが、滋賀のベーリーAは、ジャミーな感じにはあまりならず、もっとチャーミングな感じになるんです(石本さん)」。
DELAOle (デラオレ) 2021/2,970yen(税込)
「醸造を担当するようになってから、オレンジワインを2種類仕込んでいるのですが、そのうちのひとつがこの「デラオレ」。デラウェアの全房をマセラシオン・カルボニックの仕込みでやっているので、はつらつとした、爽やかでキレイな仕上がりです。白ワインのような爽やかさに、タンニンが乗ってコクや旨みが加わったようなイメージ。合わせる食事は何でも来い、という感じ。2021年のヴィンテージは、抜栓して2〜3日目のほうが美味しいかな、と感じています。大きなグラスで時間をかけて飲むと、本領を発揮してくれると思います(石本さん)」。

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CHARDONNAY cuvee Ohura 2017 シャルドネ キュベオオウラ/3,630yen(税込)
「山形県高畠町の栽培家・大浦進氏によるシャルドネを、低温で約1カ月自然醗酵の後、フレンチオークで約7カ月熟成。コルクを抜いてからリコルクして、振ってもらってもいいかなと思っています。還元臭を抜くという意味もありますし、澱を回しておくという意味もあって…。そういう扱いをしたほうが早く開いてくれて、美味しく飲めるかなと思います。けっこう、家ではそういう飲み方をしています!(石本さん)」 

ヒトミワイナリー
滋賀県東近江市山上町:(株)ヒトミワイナリー

ヒトミワイナリー(HITOMI WINERY)は、琵琶湖の南、紅葉で有名な滋賀県東近江(旧永源寺町)に位置する、「にごりワイン」の専門メーカー。1984年当時アパレルメーカーの社長だった創設者・図師禮三(ずしれいぞう)氏は本当に自分のやりたいことをやろうと、大のワイン好きだったことから独自のワイン造りをしたいと思い立ち、全くのゼロからのスタートで自社農園のブドウ畑やワイナリーを設立。1991年にヒトミワイナリーが正式にオープンしました。「ワインを美味しく楽しくお届けしたい」と手造り、手詰め作業でワインを造っています。ワイナリーの敷地内には、天然酵母パンをはじめハード系のパンを中心とする「パンの匠 ひとみ工房」を併設。

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ワイン造りの現場にwa-syuが特別インタビュー!
シリーズ・日本ワインが生まれるところ。

日本ワインは人とブドウのストーリーから生まれます。ますます日本ワインが好きになる、そんな素敵なワイナリーを、wa-syuが独自取材でご紹介!

 

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日本ワインで、日本をもっと深く知る。
エリア別ワイナリーガイド

日本の感性と職人技を生かした名品が次々と誕生し、国内外の食通を惹きつけながら、進化し続ける日本ワイン。南北に長い日本列島の各地で栽培・収穫されたブドウのみを使用し、日本国内で製造された「日本ワイン」は、その地域の気候や品種によって性質もさまざまで、そのため多様性に富んだ味わいが特徴です。北は北海道、南は九州・沖縄まで。日本全国より、wa-syuが厳選した40以上のワイナリーをエリア別ガイドでご紹介します。

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