巨大都市でありながら、ブドウ産地でもある希有な環境!大阪府のワイナリー

西日本最大の都市であり、屈指のグルメ都市でもある大阪。意外にも古くからブドウの産地として有名なエリアも!老舗と新進、注目の2ワイナリーとは?

100年を超える老舗ワイナリーも現存。さらに都市型の気鋭ワイナリーも誕生するなど、目が離せない大阪府エリア。

近畿地方に現存する最も古いワイナリー、100年越えの老舗『カタシモワイナリー』。そして、いまホットな"都市型ワイナリー"を、日本で最初期に設立した『島之内フジマル醸造所』。タイプや成り立ちの違う2つのワイナリーには、大阪ならではの、ある共通する想いがありました。

※左から1番目の画像はイメージです。2020ヴィンテージは完売しました。現在の取り扱いは、2021ヴィンテージです。

写真左から:
カタシモワイナリー/たこシャン 2020/SOLD OUT
カタシモワイナリー/たこシャン 2021
カタシモワイナリー/合名山 メルロ
島之内フジマル醸造/山葡萄 2017
島之内フジマル醸造/キュベパピーユ 大阪RED 2019年

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意外にも、デラウェアの栽培面積は全国3位。日本有数のブドウ産地としての歴史を持つ大阪府だけれど、その生産量は減少傾向に。

大阪府はブドウ栽培が盛んで、栽培面積は全国第9位、収穫量全国第8位を誇ります。なかでもデラウェアでは、山形県・山梨県に続いて、栽培面積は全国で第3位。デラウェアは大阪で栽培されているブドウの9割を占めています。デラウェアが多いのは、丈夫で雨にも比較的強いので、大阪でも作りやすかったということがあるようです。また、伊勢湾台風(1959年)や第2室戸台風(1961年)で、それまで多く作られていた甲州ブドウは大被害を受けましたが、デラウェアは8月頃には収穫が終わるので台風の影響を受けにくいこともあり、栽培面積が増えたようです。現在でも、大阪のワイナリーが造るワインは、デラウェア種を使ったものが多い傾向にありますが、ワイン用としてはマスカット・ベーリーAなども作られています。ただし、都市化の波を受けたり、輸送手段の発達で他県の果物の流通が増えたこともあり、年々ブドウの栽培面積が減りつつあるのも事実です。

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ワインを造ることは、大阪のブドウ産地を守ることにつながる。造り手のそんな想いを、飲み手の側からも支えたい!

1914年(大正3年)に創業した『カタシモワイナリー』は、明治初期からブドウの栽培を手がけていた老舗。特にブドウ栽培が盛んな柏原市に位置し、都市化の波にも負けずに自社畑の貴重な古木を守り育て、地場産業としての栽培とワイン造りを発展させてきました。いっぽう気鋭の都市型『島之内フジマル醸造所』は、もともとは海外のワインを取り扱っていた会社が設立。大阪府内でブドウの生産量が減り、耕作放棄地が目立ってきたことを受けて2010年からブドウ栽培を手がけ始め、2013年にはワイナリーを併設したレストランを大阪のど真ん中に完成させました。成り立ちや歴史は違えども、2つのワイナリーに共通するのは、ブドウ栽培地としての大阪を守り、次世代に繋げていこうとする姿勢。ぜひ大阪のワインを味わって、そんな造り手の熱い想いを支えてみませんか?

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たこ焼きに合わせるワイン?大阪のワインの代名詞として親しまれている老舗中の老舗『カタシモワイナリー』は、新しい挑戦も忘れない。

『カタシモワイナリー』は、1914年(大正3年)から続く由緒あるワイナリー。大正時代に建てられたワイン貯蔵庫は、国の登録有形文化財に指定されています。明治初期にブドウ畑を開拓しはじめ、日本酒の醸造技術を利用してワイン造りをスタートさせたため、戦後までは杜氏がワインの醸造に参加していたそう。"樹齢が高くなると、ブドウが土地に馴染んでくる"という信念のもと、通常30年前後で更新されるワイン用ブドウの木も、できるだけ長く生きてもらえるように大切に手入れをしています。そのため100年を超える古木も健在。現在は自社農園では除草剤を使用せず減農薬に取り組み、可能な限り有機肥料を使用した栽培をおこなっています。醸造も担当している高井麻記子(たかいまきこ)氏は5代目で、伝統を守りつつ、日本のワイナリーには珍しいブドウの搾りかすを使った「ジャパニーズブランデー」をいち早く取り入れたり、たこ焼きに合うスパークリングワイン『たこシャン』をリリースしたりと、老舗だからこそできる新しい試みを続け、注目されています。

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カタシモワイナリー

[名称]カタシモワイナリー/カタシモワインフード株式会社
[住所]大阪府柏原市太平寺2-9-14
[ワイン販売所住所]大阪府柏原市太平寺2-7-33
[ワイン販売業時間]平日:10:00~18:00/土・日・祝:10:00~17:00 
※年中無休(正月休み除く)

[概要]かつて日本一のブドウ生産量を誇った大阪で1914年から続く由緒あるワイナリー。日本酒の醸造技術を利用してワイン造りをスタートしました。戦後までは、杜氏がワインの醸造に参加していたそう。ワイン造りでこだわっていることは、健康なブドウを育てることと、蔵内の衛生管理を大切にすること。樹齢が高くなると、ブドウは土地に馴染んできます。通常、ワイン用ブドウは30年前後で更新しますが、古い木を大切に、できるだけ長く生きてもらえるように手入れを丁寧におこなうことで100年を超える木も健在しています。ワイナリー敷地内では、国の登録有形文化財に指定されている貯蔵庫や、柏原市指定有形民俗文化財に指定されているワイン造りの歴史ともいえる明治~大正時代の醸造器具35点を見学することができます。

大阪の中心街に位置する、日本の都市型ワイナリーのはしりと言える存在。実はブドウ生産地にも近い『島之内フジマル醸造所』。

もともとは大阪でワインショップとしてスタートした『FUJIMARU』ですが、大阪エリアのワイン産地を守るべく、2010年から耕作放棄地となったブドウ畑の管理をするようになりました。『FUJIMARU』への耕作依頼はその後も増え続け、デラウェアを中心としたブドウ栽培は2ヘクタールを超えるまでに。当初は収穫したブドウを『カタシモワイナリー』に委託してワインを醸造してもらっていましたが間に合わなくなり、2013年に自らのワイナリー『島之内フジマル醸造所』を設立することになりました。大阪の中心街に造られたこのワイナリーこそ、日本の都市型ワイナリーのはしりと言える存在です。その後、さらに増え続ける耕作放棄地の管理や、ブドウの買い取り依頼に対応するため、東日本のブドウを受け入れるネゴシアン型のワイナリーを2015年に東京にも設立。食中酒として日常の食卓に寄り添ってくれる親しみやすいワインからは、農作物であるブドウの、生き生きとした繊細な味と香りが感じ取れます。

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島之内フジマル醸造所

[名称]島之内フジマル醸造所/株式会社パピーユ
[住所]大阪市中央区島之内1-1-14 三和ビル1F
[レストラン営業時間]12:00〜21:30(L.O.) 23:00(CLOSE) 
※火曜・水曜日定休

[概要]産地と造り手と消費者が一体になれるような場所を創るために、2013年、大阪のど真ん中にオープンした都市型ワイナリーです。1階がワイナリー、2階にはレストランが併設されている、世界的にも珍しいスタイルをとっていて、アクセスのしやすさからも人気になっています。「ワインを日常に」をゴールに掲げ、レストランではワイナリーで醸されたワインはもちろん、地元関西の食材を中心に使った、イタリアンをベースにした創作料理をスタンバイ。大阪産のデラウェアを使用して造った『大阪デラウェア 2020』など、近郊栽培の利点を活かしたワイン造りが進められています。また次の世代へワイン産地としての大阪を引き渡したいという想いから、長年育てられているデラウェアを中心にブドウ栽培を続けています。レストラン利用の場合、ワイナリー見学も随時可能。(醸造作業中などで見学できない場合もあります)

日本ワインで、日本をもっと深く知る。
エリア別ワイナリーガイド

日本の感性と職人技を生かした名品が次々と誕生し、国内外の食通を惹きつけながら、進化し続ける日本ワイン。南北に長い日本列島の各地で栽培・収穫されたブドウのみを使用し、日本国内で製造された「日本ワイン」は、その地域の気候や品種によって性質もさまざまで、そのため多様性に富んだ味わいが特徴です。北は北海道、南は九州・沖縄まで。日本全国より、wa-syuが厳選した50以上のワイナリーをエリア別ガイドでご紹介します。

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ワイン造りの現場にwa-syuが特別インタビュー!
シリーズ・日本ワインが生まれるところ。

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