日本で本格的なワイン造りが始まって100年あまり。その歴史と共に歩んできた、葡萄とワイナリーのストーリー。
日本での本格的なワイン産業は、明治初期に山梨県・勝沼の2人の青年がフランスで学んだワイン醸造技術を地元に広めたころからスタートしました。もともと江戸時代より葡萄の産地だった山梨県は、大消費地である首都・東京まで馬車でワインを運ぶことができた地の利や、昼夜の寒暖差が大きい盆地の気候で良質のブドウを産出できるなど、ワイナリーが誕生しやすい条件がそろっている地域でした。代表的な日本固有種と認められている甲州ブドウも、この地に古くから伝わっており、日本ワインの代名詞として世界から注目を集めるようになっています。現在でも残っている100年越えの老舗ワイナリーは、やはりそのほとんどが、山梨県に位置しています。
また同じ明治初期には、大阪・河内地区でもブドウ畑の開拓がスタートしていました。のちにワイン造りを始める醸造所が登場、盛んにワインが造られるようになりました。
戦前・戦中・戦後と時代の荒波に翻弄されたこともあり、100年以上の歴史を辿ることのできる現存ワイナリーは数えるほどしかありません。知れば知るほど味わいが増す、そんな歴史とストーリーをたどって、日本ワインの魅力をあらためて堪能してみませんか?
130年以上続く、山梨県の『ルミエールワイナリー』。日本ワインの歴史をつぶさに見てきた老舗中の老舗ワイナリーにお話を伺いました。
ルミエールワイナリーは、山梨県におけるワイン造りの黎明期・明治18年(1885年)にスタート。当時からずっと同じ場所で、これほど長くワイナリーを営み続けているところは、ほんの数軒です。もともとは『甲州園』というブドウ園で、いわゆる"観光ブドウ園"だったそう。明治初期に殖産興業でワイン造りの気運が高まっていたということもあり、もともと葡萄農家だったというアドバンテージがあった『甲州園』は、早くからワイン造りを手がけ始めたそうです。
※左から1番目の画像はイメージです。2021ヴィンテージは完売しました。現在の取り扱いは、2022ヴィンテージです。
※左から3番目の画像はイメージです。2017ヴィンテージは完売しました。現在の取り扱いは、2021ヴィンテージです。
※左から4番目の画像はイメージです。2017ヴィンテージは完売しました。現在の取り扱いは、2019ヴィンテージです。
※左から5番目の画像はイメージです。2019ヴィンテージは完売しました。現在の取り扱いは、2021ヴィンテージです。
写真左から:
ルミエールワイナリー/プレステージクラス オランジェ 2021
ルミエールワイナリー/プレステージクラス オランジェ 2022
ルミエールワイナリー/光 キュべスペシャル 2013 (箱入り)
ルミエールワイナリー/スパークリング デラウエア 2017
ルミエールワイナリー/スパークリング デラウェア 2021
ルミエールワイナリー/スパークリング ロゼ 2017
ルミエールワイナリー/スパークリング ロゼ 2019
ルミエールワイナリー/スパークリング オランジェ 2019
ルミエールワイナリー/スパークリング オランジェ 2021
ルミエールワイナリー/スパークリング 甲州 2016 マグナムボトル
ルミエールワイナリーの石蔵発酵槽は、登録有形文化財に認定。老舗の歴史を雄弁に語る産業遺産は、今も現役!
ルミエールワイナリーには、登録有形文化財に認定されている石蔵発酵槽(いしぐらはっこうそう)という施設があります。これは明治34年(1901年)に構築された、日本初のヨーロッパ型横蔵式地下発酵槽。それまでのワイン造りには、日本酒の桶などを転用していましたが、この石積みで地下に設置された発酵槽によって大量の仕込みが安定的にできるようになり、明治から昭和にかけて大活躍しました。現在ではステンレスタンクによる発酵や温度管理が当たり前の時代になりましたが、石蔵発酵槽は設置当時から地下水を使って温度管理ができたり、酸に強い花崗岩(かこうがん)を使用したりするなど、ワインにとって最適な条件が揃った施設でした。1基あたり10,000リットル以上の醸造ができる槽が10基並んでいますが、この石蔵発酵槽はなんと、令和の今も現役。100年前と変わらない、世界中でここにしかない施設と製法で、『石蔵和飲(いしぐらわいん)』というオリジナルのワインを生み出しています。
革新的な挑戦も続けるルミエール。近年の日本ワインの動向を、5代目社長の木田さんに教えていただきました。
ルミエールワイナリーの5代目社長・木田茂樹(きだしげき)さんは、山梨ワイン海外輸出プロジェクト「Koshu of Japan(KOJ)」 委員長や、山梨県ワイン酒造協同組合の理事長を歴任。スロベニア国際ワインコンペティションの常任審査員を務めるなど、海外のワインの動向にも詳しく、"日本ワイン"を世界に紹介する活動にも大きく貢献しています。
「30年以上前からワインを学び、味わってきましたが、日本ワインがこれほどまでに認められるようになったのは、いくつかの社会的・経済的な要因がありました(木田さん)」。
ワインと言えばやはりフランスのワインが最高峰だった時代。日本のワインは、余ったブドウを使った、いわば"お土産もの"のような存在だったことも。
「もともと、日本は生食用ブドウの生産のほうが盛んだった国。戦後にできた一部のワイナリーでは、ワインといっても、生食で余ったブドウを使ったお土産物のようなワインが大多数を占めていた時期が長かったんです。品質が良くなかったとしても安かったので、それはそれである程度売れていました。ワインの本場・フランスの高品質なワインとは、まったくちがった市場だったわけです。しかし、健康ブームで赤ワインが爆発的に売れたことや、チリワインなどの、安くて美味しい海外ワインが大ヒットしたこと(共に1998年ごろ)、ボジョレー・ヌーボーのブームなどがあって、日本のお土産ワインが売れなくなってしまった。みんなが安くて美味しいワインを知ってしまい、"安いだけ"のワイン産業が成り立たなくなってしまったわけです(木田さん)」。
生き残りの道は、いいブドウからいいワインを造ること。老舗ワイナリーも、さらに高品質なワインを目指すように。
「日本のワイナリーは生き残りをかけて、いいブドウからいいワインを造る、という方向にシフトし始めました。品質を上げざるを得なくなったわけです。品質の良いワインとはなにか、と考えたときに、本場ヨーロッパのワイン造りを改めて学ぶべきではないかと、2000年ごろから海外で勉強をするワイナリーも増えてきました。そして2009年ごろ、歴史的な円高となり、このときに海外の優れたワイン醸造器具がすごく安く買えるようになりました。みんな、設備をここで更新すると共に、知識も吸収して、このタイミングで醸造の技術がずいぶん底上げされたと思います(木田さん)」。
そして、日本でしか造れないオリジナリティーあふれるワインが、世界に認められるようになって。
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時の流れに思いを馳せながら。日本ワインの礎を作った、老舗ならではの味わいをじっくりと楽しめる銘柄を堪能して。
老舗ワイナリーが紡ぐ日本ワインのストーリーを堪能することで、新たな味わいを知ることができるかもしれません。今回お話をうかがった『ルミエールワイナリー』以外にも、100年を超える『まるき葡萄酒』『シャトー勝沼』『カタシモワイナリー』や、80年以上続く『岩崎醸造』などの老舗ワイナリーが発信する味わいを、wa-syuではセレクトしています。老舗ならではの歴史ある銘柄から、新たな試みまで、その底力をぜひ、じっくりと味わってみてください。
※左から1番目の画像はイメージです。2018ヴィンテージは完売しました。現在の取り扱いは、2020ヴィンテージです。
写真左から:
ルミエールワイナリー/スパークリング 甲州 2018/SOLD OUT
ルミエールワイナリー/スパークリング 甲州 2020
岩崎醸造/ホンジョー 勝沼 ロゼ
シャトー勝沼/菱山ベーリーA 2018【日本ワイン・圃】/SOLD OUT
まるき葡萄酒/ラフィーユ トレゾワ リザーブド 甲州
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ルミエールワイナリー
山梨県笛吹市一宮町南野呂:(株)ルミエール
ルミエールワイナリー(Lumiere Winery/るみえーるわいなりー)は、山梨県笛吹市で代々続く老舗で、大正時代には宮内庁御用達となった由緒あるワイナリーです。明治18年(1885年)、降矢徳義(ふりやとくぎ)が甲州園(現在のルミエール)の前身となる降矢醸造場を創設。その後、大正7年に皇室御用達となり、昭和2年には昭和天皇御即位の御大典祝賀用に採用された歴史があります。
創業時から「本物のワインを造るには、本物のブドウを育てること」をモットーに、ワイン用ブドウの栽培を続け、自社農園では雑草を生かした「草生栽培」、人工的に耕さない「不耕起栽培」による土づくりをしているのもこだわりの一つ。雑草を増やすことにより多種の生物が共存する環境「生物多様性」が守られ、たくさんの動植物が生命を営んでいます。そのため、地上では虫によるブドウへの食害が減り、地下では水はけのよい柔らかい土壌が作られます。
1998年に国登録有形文化財に、2018年には日本遺産の構成要素に認定された「石蔵発酵槽(いしぐらはっこうそう)」でも有名。明治34年(1901年)に"日本のワイン王"と呼ばれた実業家・神谷傳兵衛(かみやでんべえ)氏の指導を受け、扇状地の傾斜を利用した日本初のヨーロッパ型横蔵式地下発酵槽で、現在も使用されています。
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