2023.11.01
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ツイヂラボ・須賀貴大さんが、自社以外でセレクト。いま日本ワインで選ぶなら、この4本
ナチュラル系ワインの注目株、『ツイヂラボ』醸造家・須賀貴大さん。オーストラリアと2拠点で活躍する彼に、日本ワイン4傑を選んでもらいました。
長野県・東御市とオーストラリア、そして東京。複数の拠点を持つ、オーナーと醸造家のユニット的ワイナリー『ツイヂラボ』は、ナチュラルワインの実験場!
長野県東御(とうみ)市に位置する『ツイヂラボ』は、ワイナリーが多数設立されている千曲川ワインバレーの中でも、とりわけ注目の存在です。ワインそのものが魅力的なのはもちろんですが、さらに面白いのはオーナーと醸造家のライフスタイル。オーナーの築地克己(ついぢかつみ)さんは東京での仕事を続けながら、長野との2拠点生活で夫人とともに二人体制でブドウを栽培しています。また、醸造を担当する須賀貴大(すがたかひろ)さんは、南半球であるオーストラリアにも自らの醸造の拠点を持っているため、2月から5月までをオーストラリア、9月から12月までは長野県の『ツイヂラボ』、残りは東京で過ごします。この2人の個性的なユニットが、「もも」と「くるみ」という2匹のマスコット犬をモチーフにしたナチュラルなワインを発信すると、またたく間に日本ワイン界隈で大きな話題となりました。
▼「ツイヂラボのアイテムリスト」はこちら
波乱に富んだ海外生活を経て、国内外2拠点で醸造家として活動。須賀さんが考える、飲むべき日本ワインとは?
醸造責任者である須賀さんは、10代から20代にかけて海外で生活したのち、フランスでカメラマンとしても活動していた異色の経歴の持ち主。ワイナリーに取材に行ったことがワインとの出会いで、そこからワインの世界にのめり込んでいったそう。ニュージーランドやドイツ、北海道などのワイナリーで研修するなど、さまざまなスタイルのワインに接してきた須賀さん。ワインに対する新しい感性で、独自の境地を切り拓いています。
「カッコつけるなら “ワインは造り手の自己表現が凝縮された一本の映画のようなもの” ですが、普段は “ビールは大喜利、日本酒は落語、ワインはフリートーク”と言うようにしています(詳しくは飲みながら話しましょう)。
今回選んだのはその中から、フリートークの現場で、“収録前の楽屋挨拶をしっかりやっていそうなワインたち”です。
わかりやすく言うなら 「基本を押さえた上での遊び」がどれだけ表現されているか。それこそがモノづくり、少なくともワイン造りにおいて大切だと思っています。基本がなければ破綻してしまいますし、基本を押さえているだけでは面白みに欠けますから、どちらも不可欠です。その中でも、特に感性を刺激される4つを選びました」と、今回のセレクトについて語ってくれました。4つのワインの順番には意味があり、実は裏ストーリーを時系列で並べているそう。ワインを擬人化して味わう、その感性にも注目です。
写真左から:
エルヴォルカン アルバリーニョ 2022/11,110yen(税込)
Farmer’s Cabernet Sauvignon City Farm 2019/4,620yen(税込)
2021 メルロ ブラン・ド・ノワール/4,510yen(税込)
プティ・マンサン モアルー 2019/9,240yen(税込)
須賀さんおすすめ① もしこの人(ワイン)に校門前で「おはよ」の一言をもらったら…。『Farmer’s Cabernet Sauvignon City Farm 2019』
20年以上、質の高い醸造用ブドウを造り続けてきたプロフェッショナル集団、City Farmの完熟カベルネ・ソーヴィニヨン。「一語で表現するなら「慈」。ブドウ本来のポテンシャル以外にも、醸造のどのシーンを切り取っても優しさが感じられます。「慈」を液体に変換することで「滋味」になったのがこのワイン。心地よい密度と穏やかさが線となって余韻に流れていく様は優美で、この人に校門前で「おはよ」の一言をもらってしまったら、そこから一週間は学業が手につかなくなります(須賀さん)」。
須賀さんおすすめ② サークルで気になる先輩との会話に、タメ語を織り混ぜてみた時のような高揚感。『エルヴォルカン アルバリーニョ 2022』
火山のようなエネルギーに溢れる、アルバリーニョの特別なワイン!新潟県・角田山から噴出した溶岩の岩盤上に海砂が堆積した畑の、有機栽培ブドウを野生酵母発酵させています。「フェルミエさんのラインナップとしては珍しく、酵母も亜硫酸も添加はなしだそうですが「なし」にすることが最終目的ではなく、表現の手段としてその選択をされたのだろうということを感じます。一線を越えずにどこまで攻めるか。サークルで気になっている先輩との会話にタメ語を織り混ぜてみた時のような、高揚感を伴うせめぎ合いです(須賀さん)」。
須賀さんおすすめ③ 基本に忠実な上に醸し出される、大人の余裕が美しく感じられる『プティ・マンサン モアルー 2019』
『ウッディファーム&ワイナリー』が、山形県上山市の風土に合う品種として力を入れている「プティ・マンサン」。その国内屈指の名品として知られる上級キュベです。「プティ・マンサンは、個人的に日本でいま最も可能性を感じている品種なのですが、この状態に仕上げる金原さん※は心から尊敬です。基本に忠実になった上で醸し出される大人の余裕は美しく、まるでホームで電車を待っている時に「手、つめたいね」と言いながら握ったままの左手をコートの右ポケットにいざなってくれるような、酸の中にある甘美の凝縮です(須賀さん)」。
※『ウッディファーム&ワイナリー』醸造家の金原勇人氏
須賀さんおすすめ④ 5年前に付き合っていた恋人から突然かかってくる電話のよう。『2021 メルロ ブラン・ド・ノワール』
他の醸造家さんからも、しばしば名前が挙がる名品!2021年収穫のメルローをブラン・ド・ノワール(黒ブドウから造られた白ワイン)仕立てにした、珍しい白ワインです。「他の3つとはタイプが違いますし、オフフレーバーは確かにありますが、(皮肉ではなく)モノづくりにおける精神のベクトルとして非常に面白いです。5年前に付き合っていた恋人から突然かかってくる着信のように、危うくも惹きつけられてしまう魅惑は、いつしか大人になった時に色気を構成するスパイスになるのだろうと、その行く末を見てみたくなりました(須賀さん)」。
ツイヂラボ
長野県東御市和:ツイヂラボ
ツイヂラボ(TSUIJILAB/ついぢらぼ )は、オーナーの築地克己(ついぢかつみ)氏が2020年に長野県東御市に設立したワイナリー。築地氏は、2016年、東御市にてワイン用ブドウ栽培を開始。2019年、委託醸造を開始し、東京との2拠点でワイン造りを始めました。ソムリエの資格も有する、醸造責任者の須賀貴大(すがたかひろ)氏は、オーストラリアにも拠点を持ち、季節の逆転する南半球と北半球で年2回ワイン造りをおこなうワインメーカー。2020年より、代表・築地克己(ついぢかつみ)氏が立ち上げたツイヂラボの醸造責任者に就任。幅広い経験の中で培われた技術とセンスで生み出される、ナチュラルかつクリーンなワインが、ワイナリー設立直後から注目を集めています。自社栽培のシャルドネによる白ワイン「ももわん」、メルローによる赤ワイン「くるみん」がフラッグシップワイン。看板犬の柴犬「もも」と「くるみ」がラベルに描かれています。wa-syuとのコラボも大好評!
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品種で選ぶと、日本ワインはもっと楽しい!
ブドウ品種別ガイド
ブドウ品種で選べば、日本ワインがもっと楽しくなる。日本固有種から欧州系品種まで、品種ガイドと、ワインエキスパートおすすめの銘柄を紹介します。
▼「品種リスト」はこちら
日本ワインで、日本をもっと深く知る。
エリア別ワイナリーガイド
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