シリーズ・日本ワインが生まれるところ。山梨『ドメーヌヒデ』にインタビュー!

日本ワインは人とブドウのストーリーから生まれます。ますます日本ワインが好きになる、そんな素敵なワイナリーを、wa-syuが独自取材で紹介。Vol.4は、山梨県南アルプス市の『ドメーヌヒデ』。

その人柄も慕われている、日本ワイン界の風雲児。醸造家"ヒデさん"こと、渋谷英雄さんの『ドメーヌヒデ』へ。

ちょっと変わったコンセプトのワインや、独特の感性を生かした銘柄で、熱烈なファンも多い『ドメーヌヒデ』。その味わいはもちろんのこと、醸造家である"ヒデさん"こと、渋谷英雄(しぶたにひでお)さんを慕い、その人柄に惚れ込んでいる人もたくさんいます。市場ではなかなか手に入りにくいワインもあり、『wa-syu』でも入荷次第売れてしまうケースが続出。そんな渋谷さんの素敵なワイナリーを訪ね、モノ造りの仲間たちに会い、現場を取材しました。

写真左から:
しろしろ チャチャチャ 2019/3,740yen(税込)
ジャポニカ 甲州 アパッシメント 2018/23,100yen(税込)
ラピュータ 2018/8,360yen(税込)
サージュV.V. 2018/4,840yen(税込)

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日本中の土壌に水を撒いてみて。最後にたどり着いたのが、美しい富士山を臨むこの土地だった。

『ドメーヌヒデ』は、山梨県の最西端、南アルプス市に位置します。山梨県の中でもワイナリー密集地帯である勝沼地区からは車で1時間以上離れたところ。周囲は生食用のブドウを始め、桃やサクランボなどの果実栽培は盛んなところですが、他にワイナリーは見当たりません。ところが、渋谷さんは「北は北海道、南は山口県までいろいろな土地を回って、ここを選んだ」と語ります。「水はけのよい土地、理想のブドウ栽培に適したところを探そうと思って、いろいろな土地に水を撒いて回ったんです。ここ、南アルプスの畑は、水が溜まらずにさっとしみ込む土壌だった。きっとここなら最高のブドウができるだろうと思ったんですね。いま育てているいくつかの畑も、場所によって土がぜんぜん違うんです。肥よくだったり石が多かったり…。その土壌を見極めて、枝を丁寧に選定し、よりよいブドウが生まれるように世話をしています」。
渋谷さんが選んだ地で、民家を改装した小さなワイナリーは、2015年にスタート。現在、渋谷さんは日本の自然派ワインのトップランナーとして、海外からも評価される魅力あふれるワインを造り続けています。

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異色の経歴、波瀾万丈の人生。最初の仕事場は沖縄の離島、パートナーはヤギだった?!

渋谷さんは、もともと東京・杉並区の出身。大学卒業後に就職した航空地図の製作会社で、思いもかけない仕事をすることに。「会社が、沖縄に飛行場を作ることになって、当時独身で身軽だった僕が、飛行場長を引き受けることに。沖縄の島の、さらに離島だったので、通勤は毎朝、離島まで泳いでいたんです。潮の流れを読んで、服を頭の上にのっけて濡れないようにして…。飛行場長といっても、最初の部下はヤギですね(笑)」。数年後会社が事業を手放すことになったけれど、渋谷さんはそのまま沖縄に残り、もともと好きだったダイビングのインストラクターやガイドに転身。生活の多くの時間を海に潜って過ごすようになったと言います。そんな渋谷さんに、さらに大きな転機が。「高校生にダイビングを教えるという仕事に声がかかって。そこには不登校の子どもたちもいたりして、一生懸命コミュニケーションをとろうとするんですが、なかなか難しくて…。そこでもっと勉強し直そうと、大学院に進学し、臨床心理士として働き始めました。今でも臨床心理士の仕事は少ししていて、大学で教えたり、企業でのカウンセリングをしたりしています」。
そして渋谷さんは、50歳を迎えたのを機に、また新たな人生を歩み始めました。

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50歳からの、モノ造りへの挑戦。さまざまな経験は、そのままワインの味の深みにつながっているのかも。

臨床心理士として活躍していた中で、渋谷さんは次第に、"最後はモノ造りをしたい"という強い思いを持つようになったと言います。「好きだったワインを仕事にしたいなと考えるようになって。カウンセラーという仕事は、自分から意見を述べたりすることはできないんです。家族にも仕事のことは言えないですし。でもワイン造りって、こうしたい、ああしたい、というのをいくらでも言えるでしょう?(笑)僕は50歳になってから醸造所に研修に行き始めたので、かなり遅いスタートですよね。でもワイン造りも心理学も、似ている部分があるなあと思うんです。分析や研究によって、データや数字を追うんですが、それで判ることはほんの2〜3割。のこり7割以上はわからないんですよね、人の心もワインも…。それに、人の心も何かショックなことがあるとダメージを受けたりするけれど、ワインも同じで、衝撃で味がガラッと変わったりする。やっぱり生き物なんだな、手をかければ応えてくれるんだな、と実感しています」。

写真左から:
愛してる 2020/3,740yen(税込)
しろしろ チャチャチャ 2019/3,740yen(税込)

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月の満ち欠け、潮の満ち引きを実感しながら。ブドウ畑とワイン造りにも、大自然の循環力を取り入れて。

『ドメーヌヒデ』の自社畑は、すべて化学農薬を使わずブドウを栽培。唯一、有機ボルドー液を使用しているほか、化学肥料なども使っていません。またブドウの枝の剪定や果実の収穫などを、月の満ち欠けや、上げ潮・下げ潮に合わせておこなっているそう。これはヨーロッパでは盛んにおこなわれている"ビオディナミ"(バイオダイナミック農法)の考え方に、渋谷さん独自の視点と経験が融合したスタイルだと言えます。「長年海でダイビングの仕事をしていたので、サンゴが死んだりする現実を目の当たりにして、環境や自然に対してはやっぱり敏感になってきたと思います。それに、海の生き物が上げ潮のときに生き物がいっせいに産卵するとか、下げ潮のときに移動するなどのダイナミックな光景をずっと見てきて。やはり生き物には潮の満ち引き、月の満ち欠けが大きな影響を及ぼしているんだな、ということは実感してきています。それでブドウの収穫や選定にもその考え方を取り入れて作業するようになって。下げ潮の時、ブドウの木は水分を地面に下ろすので、果実は水分が減って旨み成分が凝縮され、じっさいに美味しくなるんです」。きちんとデータで検証しながら、日本ならではの"ビオディナミ"を実践してみたい、という渋谷さん。「昔の人のいろんな知恵には、畑を敬う気持ちが込められていたりします。そういう気持ちがあると、畑仕事がより丁寧になってくる。だから古くからある言い伝えとか伝承のようなものにも、きっと意味があるんじゃないかな、と思っています」。

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富士山を臨む、美しく神々しいブドウ畑。丁寧な剪定作業が、最高に美味しい果実を生み出す。

高台で富士山を臨む、美しい『ドメーヌヒデ』の自社畑。この日は満月なので、下げ潮のタイミングに、スタッフの八巻さんとともに枝の剪定作業に。「より美味しい果実を得るために、垣根仕立て、中でもギヨー仕立てのスタイルを取っています。この剪定はコツがあって難しいので、大規模ワイナリーなどだと採用していないところも多い。ウチでも、限られたスタッフが丁寧に作業しています。枝の選定をするのも、やはり幹から水分が少なくなっている下げ潮のときのみ。月の満ち欠けと潮目を見て作業しているので、どうしても剪定できる日が限られ、ほかの農家さんより遅かったりしますが…。普通の畑は、切り口から菌が侵入したり病気になったりしないように薬を塗るんです。ウチでは何も塗っていないけれど病気になってはいないですね。水分が下がっている時に剪定しているせいか、すごく助かっています(渋谷さん)」。複数ある自社畑は、それぞれ肥よくだったり、石が多かったり、土の感触から全く異なっていますが、それぞれの土壌を見極めて丁寧に選定し、慈しんで手入れをしています。「マスカット・ベーリーAは、どちらかというと寒さには弱い品種。若木や風当たりの強い場所の木は、藁(わら)を巻いてあげています。ブドウに頑張らせない、というのも、私たちのポリシーです(渋谷さん)」。

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剪定した枝を炭に変えて撒くことで、畑のpHの調整が可能に。すべてを畑に戻す、循環型の農業が実現!

畑から出たものを、すべて畑に戻すことはできないか、というのも、渋谷さんの挑戦のひとつでした。「まず、醸造時に大量に出るブドウの絞りかす。これを最初、畑に撒いていたんですが、どんどんブドウが実をつけなくなっちゃった。絞りかすによって土壌が酸性になってしまったということがわかって、アルカリ性である石灰を入れて、中性化していたんです。でも外国から石灰を買ってきて入れるのは、本当の循環とは言えないですよね。移動の燃料もかかってしまうし…。それでアルカリ性のものがないかな、と探したら…なんと足元にあったんです! 剪定した枝を炭にするとアルカリ性になり、絞りかすと混ぜることでちょうど中性になる。それを畑に戻せばいいんだ、いうことがわかって。調べたら、土壌改良と脱炭素の取り組みとして古くからフランスでも同じようなことをやっていたらしいんです」。さらに渋谷さんは、この炭×絞りかすの肥料を製品化したり、絞りかすを和紙に作り替えてラベルとして再利用する方法を模索するなど、さまざまな形で持続可能な農業を実践しています。こうして完成した循環型の農業は、最高のブドウとワインを造るための、理想的なスタイルとも言えます。

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理想の畑から生まれ、ストーリーに満ちた『ドメーヌヒデ』のワイン。その奥深さを味わって。

『ドメーヌヒデ』のこだわりは、もちろん畑やブドウの栽培だけではありません。『shiro shiro』シリーズや『神の畑』シリーズなど、ワインの醸造、ネーミング、ラベルに至るまで、豊かなストーリーに満ちています。常にブドウの生産者や飲み手のことを考えて、新しい味わいを柔軟な発想で生み出してる渋谷さん。「日本ワインってなんだろう、と考えたときに、やはり日本独自のものを作りたいな、と思います。でも僕だけが作っていると、新しいものは生まれない。だから若い人に意見を聞いたり、醸造を任せたりしています。また、ワイナリーがワインを造るのはあたりまえだけれど、異業種の人とコラボレーションしたり交流したりすることで、全く新しいものができるんです。日本ワインはまだまだ面白いものがたくさんある。さらにバリエーションを増やして、楽しんでもらえたらうれしいですね」。

写真左から:
ラピュータ 2018/8,360yen(税込)
ジャポニカ 甲州 アパッシメント 2018/23,100yen(税込)
サージュV.V. 2018/4,840 yen(税込)
美味しさ対決「ProPro」 2018/4,620yen(税込)
愛してる 2020/3,740yen(税込)
しろしろ チャチャチャ 2019/3,740yen(税込)
シャルドネ オレンジ 2019
ぷちぷち黒糖 ロゼ泡 2018/4,400yen(税込)

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※写真左から7番目「シャルドネ オレンジ 2019」はイメージです。wa-syuでのお取り扱いはございません。あらかじめご了承ください。

ドメーヌヒデ
山梨県南アルプス市小笠原:(株)ショープル

ドメーヌヒデ(Domaine Hide)は、多彩な経歴を持つ醸造家・渋谷英雄(しぶたにひでお)氏が手掛けるブティックワイナリー。南アルプスで潮の満ち引きに従う栽培と醸造をおこなっています。日本固有種のマスカット・ベーリーAの桃花色に心奪われたことをきっかけに、この品種とともに世界を目指すことを決意。ブドウのポテンシャルを見いだし、一つひとつの畑にもこだわって栽培しています。現在は甲州などの栽培にもチャレンジ。野生酵母でじっくりと発酵させた赤ワインをはじめ、『ドメーヌヒデ』らしい個性的な銘柄が光ります。アーティストが描く美しいラベルや、『愛してる』『ラピュータ』『神の畑』などの感性豊かなネーミングにも注目です。

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