シリーズ・日本ワインが生まれるところ。山梨『ドメーヌヒデ/醸造編』にインタビュー!

日本ワインは人とブドウのストーリーから生まれます。ますます日本ワインが好きになる、そんな素敵な人と畑とワイナリーを、wa-syuが独自取材で紹介。Vol.9は、山梨県南アルプス市の『ドメーヌヒデ/醸造編』です。

魅力的な人と環境が造る、極上の日本ワイン。その美味しさを追って、『ドメーヌヒデ』のヒデさんの元へ。

マスカット・ベーリーAにこだわり、ナチュラルな造りで美味しいワインをリリースしているワイナリーが、山梨県・南アルプス市にある…。そんな評判が日本ワイン好きの間に広がり、入手困難になっている"ヒデさん"のワイン。異色の経歴を持つ醸造家・渋谷英雄(しぶたにひでお)さんの小さなブティックワイナリー『ドメーヌヒデ』で、その愛情あふれる醸造の現場を拝見しました。

写真左から:
ベベミズナラ 2020/2023.2.7発売予定
ミズナラ甲州/2023.2.7発売予定
壺 シャルドネ 嘉祥窯×Domaine Hide/24,200yen(税込)
ホシワイン アパッシメント 2018/22,000yen(税込)
ラピュータ ハイジ 2019/5,280yen(税込)
ジャポニカ 甲州 アパッシメント 2018/23,100yen(税込)
ジャポニカ 甲州 アパッシメント 2019/23,100yen(税込)
愛してる スパークリング 2022/4,510yen(税込)
Vegan 2021/7,700yen(税込)
神の畑 Sakura MBA 2019/4,510yen(税込)
スイートシャイン 2019[375ml]/5,940yen(税込)

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異色の経歴を持つ渋谷英雄さん。50歳を過ぎての、ヴィニュロンへの転身。

自社畑でのブドウ栽培をメインにワインを造っている渋谷さん。沖縄の離島での飛行場長から、プロのダイビングインストラクター、そして大学院に進学し、臨床心理士の資格を取得。さらに50歳から、まったく経験のなかった農業やワイン造りをスタートさせました。今でも臨床心理士の仕事を並行して続け、大学で教えたり、企業でのカウンセリングをしたりしている渋谷さん。"最後はモノ造りをしたい"という強い思いを持ち、醸造家へと転身したということです。世界有数の国際コンクール『Decanter World Wine Awards(DWWA/デキャンタ・ワールド・ワイン・アワーズ)』でのシルバー受賞歴もあり、氏のワインはますます評価が高まっています。

愛してる スパークリング 2022/4,510yen(税込)

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自然の力、月の満ち欠けをワイン造りに取り入れて。"ビオディナミ"の考え方を生かした栽培、醸造を選択。

長年、海で潮の満ち引きと共に生活してきた渋谷さん。月の満ち欠けによる潮の変化が、海の生き物たちにダイナミックに影響するさまを見てきたと言います。また、オニヒトデの珊瑚の食害や、ゴミの投棄による海洋汚染も目の当たりにしてきたそう。仲閒とサンゴ礁の再生に取り組む活動もしていた渋谷さんが、ワイン造りにもナチュラルな発想を取り入れるのはごく自然なこと。除草剤を使わず、余計な施肥をしないのと同時に、植え付けや剪定、収穫、醸造など全てにおいて、月の満ち欠けを意識した"ビオディナミ(バイオダイナミック)"の考え方を取り入れたり、コルクなどの資材に至るまで植物性のもののみを使用したヴィーガンワインを造ったりするなど、エコロジーに関しても独自のラディカルな姿勢で取り組んでいます。

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タンクはいつも目が届くような高さ。慈しむように育てたブドウを、暦に従ってワインに。

『ドメーヌヒデ』の醸造所に入るとまず目につくのは、こぢんまりと並べられた青いタンク群。「収穫したマスカット・ベーリーAは、機械を使わず、衛生スーツを着て足で踏んでつぶしてから、このようなタンクで発酵させています。醸造タンクは小ぶりなものがほとんどです。すべてのタンクに常に目が行き届くように、胸より低いものを使っています(渋谷さん)」。確かに、のぞき込めるような高さのタンクばかりが並んでいます。「ビオディナミは、フランスでは法制化もされているくらい浸透している考え方です。ブドウの木も月の満ち欠けに合わせて、水を吸い上げたり、根の方に下ろしたりしています。だから剪定や収穫もそれに合わせることで、病気になりにくくなったり、糖度があがったりするというのは発見でした。おかげで薬を塗ったり、農薬を使うということをほとんどしなくて済んでいます。醸造に関しても、ワインを絞る日や澱引き、ビン詰めの日など、節目節目で月の満ち欠けを意識しています」と語る渋谷さん。日本でもちょっとした伝承や言い伝え、季節の変わり目でするべきことがあるように、フランスでも自然に口伝えで守られてきたという、いわば養生訓のようなもの。それをごく自然に実行しているのが『ドメーヌヒデ』のスタンスなのだと感じました。

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世界で初めて、ワインのために京都で作られた、陶器の壺による醸造にもチャレンジ。

『ドメーヌヒデ』のワイナリーには、美しい陶器の壺が並んでいます。これは渋谷さんが、京都の老舗窯元『嘉祥窯(かしょうがま)』、ソムリエのKAZUさんとともに特別に製作した、ワインを醸すためだけに焼かれた陶器の壺。古今東西、ワインを醸す素焼きの壺やお酒を入れるための瓶は存在しましたが、陶器の壺で、ワインを醸すために最適な土・釉薬・焼き具合を吟味して造られたものはおそらく初。「壺 シャルドネ」や、『wa-syu』とのコラボレーションワイン『壺仕立て オレンジ 甲州 2021』もこの壺で醸され、月の暦に即してビンに詰められたものです。「この壺は本当に生きて、呼吸しているんですよ!発酵中のワインが、血が流れるように表面に沁みだしてきたかと思えば、傷が治ったかのように、染み出した箇所が判らなくなってしまう。また、壺が飲んでしまったかのように、急にワインがぐっと減ってしまったり。味わいは柔らかく丸くなり、外に置いているせいか、ほんのり良い香りの樹液のような、白檀香のようなものを感じるという人も。ほんとうに不思議な壺なんです(渋谷さん)」。

【ドメーヌヒデ×wa-syu】壺仕立て オレンジ 甲州 2021/6,930yen(税込)
壺 シャルドネ 嘉祥窯×Domaine Hide/24,200yen(税込)

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"干しワイン"の手法を使った、独自のアパッシメント。海外のソムリエからも高評価を得ているこの銘柄を、造っている工程も目撃!

『ドメーヌヒデ』では、陰干しすることで糖度を高めたブドウを使ってワインを造る"干しワイン"にも力を入れています。食通からも支持されているこれらのワインは、温度や湿度を調整しながらのブドウの長期間の陰干し、発酵、熟成を経て造られる、非常に手間のかかるもの。干すことで果汁の量もかなり少なくなってしまうので、生産本数も限られてしまいます。「ブドウをしっかりと乾燥させ、糖度を上げるために干し小屋を造りました。1カ月以上乾燥させたのち、自然酵母、無加糖で発酵させます(渋谷さん)」。発酵槽はまるで味噌樽のように濃厚で、芳醇な果実の香りに満たされています。ふつふつとマグマのように二酸化炭素を発生させている槽に、一日に2回ほど櫂入れ。表面温度を測って発酵が順調に進んでいることを確かめます。同じような工程を経て造られたオレンジワイン『ジャポニカ 甲州 アパッシメント 2019』は、その香ばしさと旨み、コクのある味わいから、フランスのトップクラスのソムリエも絶賛する逸品に仕上がっています。

ジャポニカ 甲州 アパッシメント 2018/23,100yen(税込)
ジャポニカ 甲州 アパッシメント 2019/23,100yen(税込)

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熟成もじっくりと手をかけて。ワインのゆりかごのような樽を、一つひとつ見守る作業。

『ドメーヌヒデ』の赤ワインは、ゆっくりと樽熟成させて味わいを増すものがほとんど。日本固有種のマスカット・ベーリーAをメインに、樽熟させたワインを造るというのは、渋谷さんの基本的ラインでもあります。「ワインにとって快適な環境でゆっくりと眠りについたワインは、やはり美味しくなるんです。でも樽は呼吸しているので、やはり少しずつ蒸発していってしまう。蒸発によって隙間ができ、空気が入ると、そこから酸化してしまい、ワインが劣化してしまいます。だからこうして定期的に樽を見回り、音を聞いて様子を確認したり、目減りしていないかをチェック。減っている樽には、あらかじめ取り分けておいた同じ種類のワインをつぎ足して樽をいっぱいにして、また蓋をするんです(渋谷さん)」。"樽に入れて終わり"ではなく、やはり人の手でじっくりと熟成を見守り、助ける。ヒデさんらしいモノ造りです。

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ラベル貼り、シール貼り、洗浄…。小さなワイナリーならではの、丁寧な仕事。

コルクの打栓はもちろん、ラベル貼り、シール貼りも全て1点ずつ手作業で。ラベル貼りのときにビンを乗せる台も素朴な手作り。こうして、気取らず自然で美味い『ドメーヌヒデ』の作品が出荷されていきます。また、取材時には樽を洗うシーンも。高圧洗浄で樽の内部を隅々までキレイにして再利用するための、手間のかかる作業です。

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栽培家・醸造家共にヴィーガン。農薬・肥料、添加物、発酵助剤など一切不使用の「完全な菜食」をコンセプトにしたワインも。

実は渋谷さんは、ヴィーガン(菜食主義)としての食生活を送っています。『Vegan(ヴィーガン) 2021』は、そんな渋谷さんが、同じくヴィーガンの栽培家のブドウと出会って造った、限定生産のワイン。ブドウの栽培期間中農薬・肥料は一切不使用、醸造においても添加物や発酵助剤なども一切不使用で造っています。使用している天然コルクまで追跡調査し、無添加のものにこだわった一本です。「不思議と、まるで体液のような、全身に染み渡るような味わいに仕上がりました。お酒が飲めない人でも飲める、と言っていただくことも(渋谷さん)」。優しい味わいでありながら香り高く、ゆるやかな酸の奥にスパイシーさが残る逸品です。写真ひだりの、渋谷さんが最初に開墾した畑で造る『神の畑』シリーズと共に、ぜひ飲んでおきたい超数量限定品。

神の畑 Sakura MBA 2019/4,510yen(税込)
Vegan 2021/7,700yen(税込)

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SDGsへの取り組みも。畑から出た剪定の枝を、炭にして畑に返す。

ワインを造っているとどうしても出てしまう、さまざまな廃棄物。これらを有効活用するために、渋谷さんは挑戦を続けています。中でも廃棄物が減って、同時に畑の土の状態もよくなるという一石二鳥の方法が、剪定した枝を炭にして再利用するというやり方です。栽培を続けていると、どうしても土壌が酸性化してしまうのが悩みだったという渋谷さん。「最初は石灰を蒔いて土壌をアルカリ化させていたのですが、石灰は外国から輸入しているものであり、土地のものではない。それに、買い続けるのもお金がかかる。なにかよい代替品はないか…と探していて出会ったのが、剪定の枝で作った炭でした。剪定した枝を簡単な器具でさっと燃やして炭化させたものは、畑に蒔くと土壌をアルカリ性に変えてくれます。畑から出たものは畑に還す。そうすることで廃棄物も出さず、土壌も改善できることに気づいたときは驚きました。また、燃やすことで二酸化炭素を発生させてしまうでは?という疑念もあったのですが、調べてみるとごく短時間での燃焼で済むので、他の手段よりもずっと二酸化炭素の排出量は少ないことが判りました。後から判ったことなのですが、ヨーロッパでは剪定の枝を炭にして畑に戻す、ということはよく行われているそう。古くからある、栽培の知恵だったのですね(渋谷さん)」。

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廃棄物を減らすために。ワインを絞ったあとのブドウの絞りかすを、新ジャンルのお酒『ピケット』に。

今、日本ワイン界でも注目され始めている、ワインの搾かすなどから造られる「ピケット(フランス語=ピケ)」にも、いち早く取り組んでいる渋谷さん。"ワインアース"をキーワードに、「ブドウはワインに、ワインの絞りかすはピケットに、ピケットの残りは肥料としてブドウ畑に戻す、ボタニカル循環型農業を目指しています」と語ります。「今までもったいないな、と思いながら捨ててしまっていたブドウの絞りかす。畑に蒔いたら土壌が酸性化してしまって、そのままでは肥料に使えないことが判って。再利用の方法を模索していて出会ったのがピケットでした。ビールのように軽く飲めるスパークリングタイプで、絞りかすに砂糖や水を加えて再発酵させて造りますが、品種の香りやの味わいなどがダイレクトに楽しめて面白いお酒です。低アルコールで飲みやすいので、お風呂上がりなどにもおすすめです(渋谷さん)」。フランスでは古くから、ブドウ農家やワイナリーの家庭内で楽しまれてきた飲み物でもある「ピケット」。"ヒデさん"らしい、自由な発想が美味しさと結実した、新しい感覚のたのしいお酒です。渋谷さんは他にも、古民家を再生して、地元の棚田米を使った米粉の蒸しパンとワインを楽しめる、古民家カフェのプロジェクトを進行中!こちらも楽しみな展開です。

【wa-syu限定】ドメーヌヒデ「ピケット」5種飲み比べセット/4,290yen(税込)

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ドメーヌヒデ
山梨県南アルプス市小笠原:(株)ショープル

ドメーヌヒデ(Domaine Hide)は、多彩な経歴を持つ醸造家・渋谷英雄(しぶたにひでお)氏が手掛けるブティックワイナリー。南アルプスで潮の満ち引きに従う栽培と醸造をおこなっています。日本固有種のマスカット・ベーリーAの桃花色に心奪われたことをきっかけに、この品種とともに世界を目指すことを決意。ブドウのポテンシャルを見いだし、一つひとつの畑にもこだわって栽培しています。現在は甲州などの栽培にもチャレンジ。野生酵母でじっくりと発酵させた赤ワインをはじめ、『ドメーヌヒデ』らしい個性的な銘柄が光ります。アーティストが描く美しいラベルや、『愛してる』『ラピュータ』『神の畑』などの感性豊かなネーミングにも注目です。

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日本初のワインを熟成させるための壺で仕立てた、オレンジワイン

『ドメーヌヒデ』と『wa-syu」』のコラボレーション。京都『嘉祥窯』が日本ワインのために作った「呼吸する陶器の壺」が、新たな味わいを醸し出す!

特別対談!ドメーヌヒデ×wa-syu コラボレーションワインができるまで。

茶道にも通ずる、道具としての美学。世界でも類を見ない「呼吸する陶器の壺」が生まれるまで。そのバックストーリーを独占取材しました!

ワイン造りの現場にwa-syuが特別インタビュー!
シリーズ・日本ワインが生まれるところ。

日本ワインは人とブドウのストーリーから生まれます。ますます日本ワインが好きになる、そんな素敵なワイナリーを、wa-syuが独自取材でご紹介!

 

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日本ワインで、日本をもっと深く知る。
エリア別ワイナリーガイド

日本の感性と職人技を生かした名品が次々と誕生し、国内外の食通を惹きつけながら、進化し続ける日本ワイン。南北に長い日本列島の各地で栽培・収穫されたブドウのみを使用し、日本国内で製造された「日本ワイン」は、その地域の気候や品種によって性質もさまざまで、そのため多様性に富んだ味わいが特徴です。北は北海道、南は九州・沖縄まで。日本全国より、wa-syuが厳選した40以上のワイナリーをエリア別ガイドでご紹介します。

▼「エリア別ワイナリーガイド」はこちら

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